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小説『虚空のバベル』7

作者:三澤賢司
最新エピソード掲載日:2026/10/12
白石崇は財務省事務次官の神保に、還元金利を一年目の1.0%から毎年1.0%ずつ引き上げ、十年目に10.0%へ到達させる「ダイナミック・モデル」を示す。預金・信託残高一千兆円に対する還元額は年10兆円から100兆円へ増え、十年間の累計は550兆円に達する。神保は負債側の支払いでバランスシートが破綻すると激しく反発する。
これに対し神崎は、資産側のCD・CP運用、事業性融資、SpaceNodeのデジタルREITやMBSの利回りも同じ速度で上昇するため、信託のALM(資産負債管理)上は相殺されると説明する。さらに、受託プールに対する信託報酬だけでも年1兆円規模になり、プラットフォームの収益源になると示す。
翌朝、白石は日銀総裁の勝木に、金利誘導目標のフレームワークを改定するよう求める。勝木はゾンビ企業の倒産や国債市場の暴落、政府の利払い負担を懸念するが、白石は構造改革として淘汰を肯定し、吉永は第五章のバベル・ループによる運用益などで利払い費を相殺できると主張する。勝木は理論の整合性を認め、決定会合で提案すると約束する。
三年後、還元金利は3.0%に達し、年間32.4兆円の還流が実行される。名目GDPは八百兆円を突破し、実質賃金も年4%を超えて上昇する。白石は十年目の完成を見据え、日本経済の再生を確信して、物語は幕を閉じる。
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