表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/4

第一章 擬態

「ごめんなさい」

唐突だった。

あいつと別れて以来、久しぶりに心から好きになった相手だった。

けれど、誰と付き合っても結局、心のどこかで「あいつ」と比較してしまう。

それが「女の勘」というやつでバレていたのだろうか。

「……君は優しいけれど、いつもどこか遠くを見てる気がするの」

去っていく彼女の背中を、俺は追いかけなかった。追いかける資格なんて、最初からなかった。

誠実であろうとすればするほど、俺の心に居座る「あいつ専用の空洞」が、目の前の誰かを拒絶してしまう。

一週間後、鏡に映る俺は、髪を派手な色に染め、指には安物のクロムハーツ風のリングをいくつも嵌めていた。

――いつからだろうか、一人称を「俺」と呼び始めたのは。

今日もまた、埋まるはずのない空洞を埋めに行く。

「ねえ、次どこ行く?」

適当に声をかけた女の肩を抱き、わざとらしく軽薄に笑う。中身のない言葉、心のない接触。自分を汚せば汚すほど、あいつとの純粋な思い出が浄化されるような気がして、俺は必死に「チャラい男」を演じ続けた。

そんな時だった。

テーブルの上で、スマホが短く震えた。

通知画面に表示されたのは、もう二度と鳴ることはないと思っていた名前。

――あいつだ。

『今、一人?』

たった四文字のメッセージが、俺が必死に築き上げた「チャラい自分」という砂の城を一瞬で押し流した。

俺は隣にいた女の手を振り払い、震える指で返信を打つ。

あの日、地獄のような喧嘩の果てに別れた時に交わした、呪いのような約束。

『もしお互いに一人になって、この約束を思い出したら、またあの場所で会おう』

あいつは、俺が一人になったことを知っているのか。それともあいつも、誰かの色に染まろうとして失敗したのだろうか。



最後までお読みいただき、本当にありがとうございます。


もし「二人の関係性が好き」「この先の二人が気になる」と思っていただけましたら、執筆の大きな励みになりますので、ぜひ下にある評価欄の【☆☆☆☆☆】から応援していただけると嬉しいです!


より多くの方に二人の物語が届くきっかけになります。星一つからでも作者にとっては大きな支えになります。


二人の「毒」を広めるお手伝いとして、ブックマークと評価ポイントでの応援を、ぜひよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ