第五話「サンドイッチを守って食われる女神」
次の日、俺たちは依頼のモンスター【ミドルスネーク】を探して森へと入った。
「本当に倒せるのかよ」
「ヴァリアブルを使えば最適化で剣をふるえますし、私が回復させられますから。 即死しなければ、おそらく、たぶん、やや、そうなればいいなあで回復できます」
「めちゃくちゃ信用できねえよ」
「そんなことより、宿のおばさんからサンドイッチもらっちゃいました。 休憩したときお茶といただきましょう」
うきうきでバスケットをもっている。
(そんなことよりって、お気楽なもんだな。 まあギスギスするようなやつよりはましだが......)
昼まで森を探すがミドルスネークは見つからない。
「いないな...... 他の冒険者にかられたんじゃないのか」
「かもしれませんね。 でもまあいいじゃないですか。 いないなら被害もない。 あっもう、お昼になりましたね。 サンドイッチを食べましょう!」
そういっていそいそと地面に布をひき、ポットからお茶をいれ出した。
「いいわけないだろ。 なんだ......」
「これは魔法のポットです。 暖かいお茶がのめるんですよ」
「ちがう! 後ろだ!」
ティティの後の茂みから何か大きな影が現れた。 それは人より大きな巨大な蛇だった。
「これがミドルスネーク!!? どこがミドルだ! 危ない!」
俺は剣を抜いてむかう。
「いいか! 俺が盾で防いだら離れろ!」
「わかりました!」
俺は走ると、噛みつこうとする蛇の攻撃をなんとか盾で防いだ。 そして振り向くと走った。
「はぁはぁ、よし! 大丈夫か!」
横をみるもティティがいない。
「どこいった!? あっ!」
みると蛇の前でバケットに必死にサンドイッチをつめている。
「なにしてる!?」
「はい、サンドイッチはまもりぬきます!」
そのままパクっとティティは蛇にのみこまれた。
「自分を守れてないだろーが!」
俺は離れようとする蛇に追い付き、盾で殴り付けた。
「はけー!! はけーー!!」
「痛い痛い! なぐるのはやめてください! きって!!」
中からティティの声がする。
「切ったら、お前もきれるんだよ!」
「やっぱり今のなし!」
「何とかでろ!!」
「ミチミチだから無理です。 もうしたからでるしか......」
「女神が排泄物になるな!」
「あっ、なんかジュウジュウいってる。 肌がヒリヒリする......」
「消化始まってんじゃねーか! くそ! 最悪きるしかない! お前頭だけあれば回復できるか!」
「できるわけないでしょうが!! ゾンビじゃないんですよ! いたたたっ! 肌がヒリヒリするぅ」
「仕方ない...... なんとかこいつの首をきるしか...... くそっ、逃げた! ヴァリアブル【走る】!」
逃げる蛇を追い上げる。
「解除【飛ぶ】! 解除、そして【切る】!」
高く飛んだ空中で解除すると蛇の首を切ると、なかからティティを引っ張りだした。
「ふぅ、なんとか首はつながってるな」
「ほら、守りましたよ」
おでこにたんこぶを作り、デロデロに汚れたティティがニコニコとバスケットをさしだした。
「......俺はこいつの魔王を倒す旅をするのか」
俺の絶望感をよそにティティは体を浄化し、いそいそとお茶の準備をしていた。
「これが報酬の2000ゴールドです」
ギルドに戻り、受付でお金を受けとる。
「もっと強いモンスターと戦いましょう!」
「お前さっき食われといてそんなことよく言えるな。 恐怖心ゼロなのか。 知能はゼロだが......」
あきれて掲示板をみる。
「これにしましょう!」
「無理だ! ミニゴーレムなんてFクラスで最強だろう! 死ぬわ! まあせいぜいこれか」
「しかたありませんね。 それで妥協しますか」
「何様なんだ。 取りあえずもう少し装備をいいものに変えよう」
「調理道具にしましょうよ」
「むりだ。 ひと月どころかいきなり刃こぼれしてるんだぞ」
ギザギザになっている剣の刃をみせた。
「いきなり刃こぼれしたんだが、ひと月もたないじゃないか」
店につくと店主に文句を言う。
「そんなはずは? いったいなにと戦ったんですか?」
「ミドルスネークだけど」
「ミドルスネーク!? あなたこの間冒険者になったばかりでしょう! あれは一、二年かかってやっとたおせるやつですよ」
「ふっ、我々をなめてもらっては困ります! 女神ティティファの加護をもつ冒険者ですよ!」
(加護じゃなくて呪いだろ。 お前がポンコツお荷物なんだから)
「女神ティティファ? 聞いたことがないが......」
「あるでしょう! あるはずでしょう!」
「やはりか...... それより、お前がもってるその鎖に縛られたものはなんだよ」
ティティがもっている刀のようなのをみていった。
「ああ、これは私が見つけたものです! 私の勘でとてもいいもののような気がします!」
ティティは満面の笑みでそういった。
「......いや、それは」
店主の顔がくもる。
(えーと、ティティのいい勘に、店主のこの顔...... はいわかりました)
「えーと、1500ぐらいでいい剣がほしいんだけど」
「だから! これ! この剣です! 無視しないでください!」
「いや、その剣は、五人ぐらい買った持ち主が売りにきて......」
「呪われてんじゃねーか!」
「レージさん、呪いなんてスピリチュアルなもの信じてるんですね。 うふっ、かわいい」
(お前が一番スピリチュアルなんだよ女神...... しかし、何かあっても一応女神だからなんとかなるか。 信じきれはしないが......)
「これ、いらないの」
「え、ええ、ですが危険なもので......」
「ならこれ俺たちがもってくから、ローブと杖かわりに頂戴。 あったら邪魔だろ」
「えっ!? それはこちらは助かりますが、しりませんよ。 返すと言われても困りますからね」
そう店主は念を押していい、俺たちは刀とローブと杖をゲットした。




