第四話「変数【草むしり】──ヴァリアブル発動」
おれたちは畑にやってきた。
「ここでまってれば来るのか」
「ええ、ですがロングイヤーなんて私一人で大丈夫です! みててください! せいや! はぶっ」
ティティは地面にうちつけ跳ね返った杖で、おでこを強打し悶絶している。
「うん...... 取りあえず来るまでまつか」
「ヴ、ヴ...... 心配すらしてくれない......」
しばらく茂みでしゃがみまっていると、森から大きな耳のウサギが現れた。
「あれか......」
「私にお任せを!」
ティティは杖を振り回し、ウサギに振り下ろした。 だがかわされ杖は空を切り、どてっ腹に体当たりされる。
「ふごっ!!」
そのままティティは畑に転げ落ちた。
「なにしてんだ......」
こちらにウサギが向かってくる。
「変数【かわす】」
その体当たりをかわす。
「変数解除、変数【切る】」
そして剣で切ると、ウサギは倒れた。
「ふぅ、大丈夫か」
俺が畑に転がり落ちたティティに声をかける。
「くっ! 力がほしい! 力が! 何を失ってもいい! だれにも負けない力がほしい!!」
そう悪いやつみたいなことをいっていたからほっといて、カードにウサギの魔力を読み込ませた。
「お疲れ様でした。 これで登録は完了しました。 ではこの契約の書類に目を通してから、署名をお願いします」
ギルドに戻ると、受付嬢から書類を渡される。
(ふむ、ギルドの契約書か、依頼の成功報酬の取り分と違反のペナルティ、クラスという序列の説明、あとは署名か......)
「書きました!」
ティティがすぐ書類をだしている。
(本当にわかってんのかよ)
「はい結構です。 ではあちらの掲示板から依頼を受けてください」
そういって受付嬢は掲示板の方に手を向けた。
「これです! これ!」
「無理だろ! それはEクラスだろう!」
「Eクラスぅ?」
バカ面してティティがいった。
(やっぱこいつちゃんと読んでなかった......)
「俺たちは最下位のFクラスなんだよ。 依頼はFしか受けられん。 依頼を達成してポイントを稼ぎランクをあげないと、上のクラスの依頼は受けられんのだ」
「へー じゃあこれ!」
「なぜ、モンスター討伐を受けようとする! 配達とかアイテム採集とかあるだろ!」
「だって人の支持をえるには強いモンスターを倒すのが一番でしょう! 人も困ってますし、何より目立つ!」
「ちっ」
(とはいえ、こいつの信仰心をあげないと帰れないからな。 魔王なんて倒せやしないが、帰るだけの力を与えないと......)
「わかった。 それをやろう」
「やっぴー」
ティティは、ど下手なスキップで受付嬢へと依頼書をもっていった。
「さて、さっさとやっちゃいましょう!」
外にでるとティティは杖をふるう。
「やれるわけないだろ! 先にもらった報酬で装備だよ」
「えー どうせなら先に調理セットを買いましょうよ。 お腹も減ったし」
「お前さっき道端のキノコ食ってただろ。 先に武器だ! どうやってこんな剣で強いモンスターと戦うんだ」
さっきの戦いで剣はもう刃こぼれしていた。
俺たちは武具屋にいった。
「おお、登録されたようですね」
「いきなり刃こぼれしたよ」
「仕方ないですよ。 お客さん剣をあつかったことないでしょう。 モンスターは大抵、無意識に魔力でガードしてますからね。 でなければわざわざ冒険者なんて職業何てなりたちませんよ」
(なるほど、たしかにそれもそうか)
「まあ、もっと切れ味が持続するものか、盾を探してほしいんだ。 1000ゴールドぐらいで」
さっきもらったお金をだす。
「それなら、この鉄の剣と鉄の盾ですね。 普通一か月はもちますよ。 800といったところですね」
その時、後ろで俺を突っつくみると、自分を指差すティティがいた。
「......あー あとこのこに残りでなんかない?」
「いやー 200じゃ、ちょっと」
「でも、モンスターにボコられたかわいそうなこだから...... 」
俺は肘でティティをついた。
「だれがかわいそうなんですか! 女神ですよ!」
「ねっ」
「うっ...... 頭をうって女神だと思い込んでるのか...... この魔法の杖を差し上げましょう!」
「ありがと!」
俺たちは買い物をすませる。
「やっぴー あたらしい杖だー」
そういって尊厳を失って手に入れた杖を持って、ティティはくるくると嬉しそうに回っている。
「さあ、あとは雑貨屋で、必要なものを買ってから、宿に帰って明日向かうぞ!」
「はーい、あっ! ごふっ」
こちらを見たティティはバランスを崩したおれて、杖で頭を強打した。
「ちょうちょ...... ちょうちょだ」
「はぁ......」
俺はティティを引きずって宿に向かった。




