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第二十話「タコやき食べるぅ! 精霊の執念」

 俺たちは城にもどり、大臣に魔力の石を渡し事情を話した。


「......なるほど、そのサクラスというものがこの魔力の石を取りに来たと...... ならば金属のゴーレムはそのものの仕業か」


「口ぶりからそうだとおもいます。 ただ他にわかったことはありません。 そのサクラスも転移魔法により逃げました」


「ふむ、魔法剣も転移魔法も使い手はほとんどおらぬ。 かなりの厄介な者だな...... あいわかった、あとはこちらでも探ろう。 御苦労であった、また何かあればそなたたちに依頼しよう」


 俺たちは報酬をえると城からでた。


「さて、あとは」


「パーっとつかいましょう!」


「イエーイパーティーやぁ!!」


「ちがうわ!!」


「えっ?」

  

「なにいってんのみたいな顔すんなよ! お前の金を返さないと、毎日24時間のイモの皮むきの刑だぞ!」


「はぁ!! 忘れてた!!」

 

「もうええやん、イモむかせたら。 このお金で散財しようや」


「ダメですよ! 死んじゃいます!」


「大丈夫やって、回復魔法かけたら、寝んでも働けるって」


「......ふむ、確かに」


「確かにじゃないでしょう! 切り捨てるのはやめてくださいよぉ!!」


 ティティが足にすがり付く。


「はぁ、しかたないな。 金を返すぞ」


 

「これが約束の金だ」


「なるほど...... ちょうどあるな。 確かに受け取った」


 そういって金を受け取るとマジックアーツの門下生は帰っていった。 


 俺たちは宿にもどる。


「ふぅ、なんとか解放されました!」


「もう勝手に人のもんくうなよ」


「あれは不可抗力だったんです! なんか体が勝手に...... やはり別の人格か、くっ!」


「くっ! じゃねーだろ」


「そんなこともうええわ。 それよりウチいいもん買うたんや!」


 そういってリヴァは俺の背中の鞄をあさっている。

  

「おい、なにしてる?」


「じゃじゃ~ん!! これなんやとおもう!」


 そう丸いくぼみが複数ついた鉄板を鞄から出した。


「おい! なんか重いと思ったら勝手にそんなもん...... それって? たこ焼き器か?」


「そうや! 鍛冶屋につくらせたんや!」 


「お金もってどこ行ったかとおもえばそれを買ってたんですね」


「そう。 ウチの大好物たこ焼きや! ティティ早よつくって!」


「わかりました。 食材を買ってきます」


 ティティが宿からでていった。


「はよ帰ってこんかなぁ。 楽しみやわぁ」


 リヴァはそわそわしている。


「気になってたけど、たこ焼きってこの世界にあるのか?」


「ないわ。 あったら買うとる」


「じゃあ、なんでしってんだ? お前ここにいたんだろ?」 


「ウチはレージの世界におったからや」


「えっ?」


「ウチは昔から、ある由緒ただしい神社にまつられて、魔物たちと戦う破邪の刀やった」


「本当か。 それでたこ焼きのことをしってるし、関西弁なのか? それでなんでこっちにいる?」


「なんか精霊王がこっちの方がええゆうて...... なんかな。 そうなんやて」


 目をそらしながらリヴァはいう。


(たこ焼き...... あっ)


「お前、まさかあの【妖怪、たこ焼きほっしい】か!」


「な、なに、いうてんのや!? こんなかわいいウチが妖怪、そんなわけあらへんやん、ははははっ、は......」


「いやまちがいない! 関西で噂になってた妖怪たこ焼きほっしい!」


「ち、ちゃうねん...... ただたこ焼きをもらって回ってただけ」


「なにがちがう! もらえないと追い回すんだろ」


「......ちょっとだけ、魔物を倒してた当然の対価をもらってただけや......」


「なるほど、お前、多分そのペナルティでこの世界に送られたんだな」


「くっ、ちょっとおちゃめさんしただけやのに...... ほんまついてないわ」


「妖怪にされといてなにがおちゃめさんだ」


「あれ? どうしたんですか?」


 ティティが買い物からもどってきた。


「ふっ、昔の武勇伝を話してたんや」  


「どこが武勇伝だ。 ただの都市伝説だろうが」


「そんなんどうでもええ、ほんで材料あったか?」


「いえ、タコだけ手に入りませんでした」 

 

「なんやと!?」


「元々ここではタコを食べる習慣がないんです」 


「しかたないな。 あれは見た目グロいしな。 まあチーズとか肉とかで代用だな」


「いやや! たこ焼き屋のにタコはいってないって、ミルクと砂糖の入ってないコーヒーやぞ!」


「ふつうだな。 だがないものはしかたないだろ」


「いややぁ! タコやき食べるぅ!! タコやき食べるぅぅぅ!!!」 


 リヴァがだだをこねて、じたばたし始めた。


「どうします?」


「ふむ、たこ焼きが食べれると思ってたが、その直前で失ったからな。 それでこの世界にタコはいるのか?」


「はいまあ、似たようなものなら......」


「ならそれを取りに行くか」


「まじでか! いくで!! タコ取りに行くでぇ!!」


 俺たちはタコ取りにいくことになった。

 

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