第十五話「漢と漢の勝負? 女神VSコボルト長」
「なあレージ、ティティがいなくなってからもう一ヶ月になるで、さすがに探しにいかへんのか?」
リヴァがそういう。 俺たちは山分けした報酬で休養をとっていた。
「ふむ、忘れていたが確かにな。 腹減ったらかえってくると思ってたが、まさか修業中に蛇にでも丸飲みされたか」
「そんなことあるわけないやろ!」
「いや、一度ある」
「あんのかい!」
「あれ、ティティか」
むこうからボロボロの服でティティがあるいてくる。
「おお! 蛇に食われてなかったか!」
「......食べられましたよ。 コヒュー」
「食べられたんや!」
「三度もね。 しかし、我は力をえました...... うぬらを越える力をね。 コヒュー」
(我とかうぬとかいいだした...... それにこれは呼吸音か?)
「さっそくお見せしましょう。 コヒュー」
俺たちはギルドにいき、Dクラス最強のモンスター依頼をうけた。
「本当に大丈夫なんか? 獣人【コボルト】やで」
「コヒュー、ふっ、誰にいっているのですか。 コヒュー、我は女神ティティファですよ。 犬っころなどこの拳でねじふせお手をさせましょう。 コヒュー」
(女神の言葉とは思えないな。 あと呼吸音うるせえな)
俺たちはコボルトがいるという鉱山へと向かう。
「この依頼は鉱山頂上にすみついた獣人コボルト討伐だ。 この難度にしては額が少ないため、うけるものがいなかった。 どうやら群れで生活しているらしいな」
「コボルトか。 知能もあるし、そんな人間に危害を加えたりはせえへんのやけどな」
「そうなのか?」
「コヒュー、そんなことはどうでもよいのです...... 我は血に飢えている。 さあここに我への贄を!」
目がバキバキのティティがそういった。
(やっぱ邪神じゃねーのか)
俺とリヴァは目をあわせ頷いた。
「あれか......」
頂上近くにある山の洞窟に、武器をもつ犬のような顔をした獣人が数人たっている。
「武器を使うのか。 知能があるってコボルトはモンスターじゃないのか」
「まあ、正確には亜人種やな。 人間とはあまり接触がない。 魔力をもつが理性はあるわ」
「それなら話し合い......」
「必要はない...... 我の拳で答えるのみ」
「あれ? 呼吸音」
「......こひゅー」
(こ、こいつ口でいってた。 強さの演出だ!)
「参る......」
「おいまて!!」
ティティは止めるのもきかずコボルトたちのもとに向かう。
「誰だ! 人間は去れ!」
「我らはここからはでていかんぞ!」
コボルトは槍をティティに向けた。
「仕方ない! いくぞ!」
「しゃあないな!」
俺たちが向かうと坑道から、複数のコボルトと大柄なコボルトがでてきた。
「あのでかいのやばいな」
「ああ、あれが長やな」
長とみられるコボルトが皆を制して前にでる。
「こちらになにようか」
そう問いかけられたティティはなにか様子がおかしい。
(なんだ......いつものおかしさとはすこしちがう)
「......強いやつに会いに来た」
「ちがう! 鉱山を取り戻しにきたんだよ! どこかの格闘家じゃないんだぞ!」
「......よくはわからないが、我らもここをでるわけにはいかぬ。 我はコボルトの長ラガン」
「ティティ......」
二人は構えた。
(おいおい体格差ありすぎだろ。 取りあえず回復を用意して......)
俺がそうかんがえているうち、二人の戦いがはじまった。
「せいっ!!」
「ぬう!!」
ティティは左右に俊敏に動くと高速の拳をたたきこむ。 それを片腕でしのいだラガンはその巨大な腕をうならせティティを殴り付ける。 ティティの体が宙にまう。
「あっ!」
だが、ティティは一回転して着地した。
「すごいで! あの攻撃を後方にとんで威力を殺したんや! ティティもやりおる! あのラガンの突きは岩をも砕くはずや!」
「いや、なんのこと!?」
それからもティティとラガンの凄まじい攻防は続く。
(これなに? なにみせられてんの?)
「まさかぁ!! ラガンはあの連続した拳をすべてふせいだぁ!! ティティはその斬撃のような蹴りを柳のようにうけながすぅ!」
リヴァは興奮しながら実況する。
「やりおるわ」
「お前もな......」
「まて! まて! ストップ!!」
俺は二人を止めた。
「なぜとめる...... これは漢と漢の勝負だ」
「いやティティ、お前漢じゃないだろ。 そんなことより、なんの戦いだよ。 戦って勝ったらいうこときくとかじゃないだろ」
「むぅ...... 確かにな」
ラガンはうなづきその場に座った。
「ほぇ? あれ私?」
ティティがポカンとしている。
(こいつ今まで無意識だったのか? だがまずはコボルトだ)
「なんでここにいるんだ? ここは元々人間の鉱山だろ」
「......それはすまぬが、我らも好きできたわけではない。 我らは住みかを奪われたのだ」
「住みかを? なにに? 人間、モンスターか?」
「いや、なにかわからぬ...... 人間ではない。 おそらくモンスターだとは思うがみたことない。 我らも部族で戦ったがどうにもならなく逃げてきたのだ......」
コボルトたちはうなだれる。
「うぬほどの漢がか......」
ティティは驚いている。
(まあこいつはおいといて...... ラガンの強さは本物だ。 部族で戦ってどうにもならないモンスターってなんだ?)
「話はわかった。 それなら俺たちも加わるから、そいつを倒せばいいんじゃないか」
「ぬ...... そなたらもか。 確かにそのものと、その仲間ならばかなりの戦力となるが、危険だぞ」
「だが俺たちもあんたたちと戦いたくないからな」
「そうやな。 コボルトとウチらで手をくめばなんとかなるかもしれん」
「ですね。 なんかよくわかんないけど......」
「......わかった。 そなたらの力を借り受ける。 再びやつとあいたいそう」
そうラガンがいうとコボルトたちから歓声がわいた。




