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第十四話「邪神の宝珠と女神ティティファ──疑惑と修行の旅立ち」

「ふぅ、なんとかなったな......」


「ふぃ、ウチのおかげやな!」

 

「なにいってんですか! 私のおかげでしょう」


「ウチやろ! ウチがいなければあいつをきれんかったんやぞ!」


「私です!! 私の魔力弾で仕留めたんです!!」


 二人はほっぺたをひっぱりあいながら言い争いをしている。


(こいつらはこりんな。 ん?)


 ゴーレムから落ちた魔鏡剣を拾ったとき、奥に像のようなものを見つけた。


「これは......」


「ああ、入り口にあった像ににてますね...... ふふっ、やっぱり不気味で滑稽ですね。 本当になんの神なんですかね」 


 そうティティは笑う。


「ここに文字があるやん。 ホコリとって、えーと、『ティティファ』やって」


「ははは、ティティファ! 変な名前ですね! えっ......」


「これお前じゃん」 


「嘘でしょ!! これが私...... そんなわけがないです! こんな人か獣かわからないものが私なんて!」


「やはり、邪神確定やな」


「ああ、くいものをむさぼってるところはようにとる」 


「ちがいますよ! なんですかその蔑むような目は! 私はこの世界の神! こんなバケモノとちがうでしょう! よくみてください!」


「ふーむ、よくみるとものを食ってるところは瓜二つか」


「そやな。 どっかでみたと思ったら朝ごはんのときやわ」


「どんな目をしてるんですか! くっ! 私をモデルにしてこんなバケモノにするとは許しがたい!」


「なにしたんだよ。 これもう嫌われてるだろ」


「なにも! ただこの世界に降りて、食べ物を献上してもらっただけです!」


「そのときの姿じゃねえの?」


「ま、まさか」


「そんなのより、ここに玉があるけど、あれが宝珠ちゃうか?」


 そうリヴァは像の足元の台座におかれた玉を指差した。


「なるほど、たぶんそうだな」


 俺の手のひらに乗る球体は赤く煌めくようにひかる。


「ゴーレムがまもっとったんか?」


「いえ、この祭壇にはなにか力があります。 おそらく異物を入らせないための結界のようなものですね。 私たちは入れましたが、ゴーレムは入れなかったのですね」


「結界...... これをゴーレムが狙っていたということか?」


「それ...... かなりの魔力を感じますね」


「魔力? 邪神の宝珠ゆうてたからなんかやばいやつなんちゃうん?」


「私は邪神じゃありません!」


「お前が邪神かどうかはさておき......」


「さておかないでください!」


「その魔力を感じるこの宝珠を、このままあのネルネストに渡して大丈夫か?」


「うーん、まあ大丈夫じゃないですかね。 魔力のためた玉なんて使い道ないですしね。 集めるだけと言っていましたが」


「そうやな。 でもめっちゃ報酬ももらえるしな! 悪人言うてもこんなもん特に使い道ないやろ」


「その報酬の高さもなんか気になるんだよな」


「なにいってるんですか。 さっきのゴーレムの強さなら妥当でしょう」


「そやな。 あんだけ強かったんやから当然の報酬や」


「確かにそれもそうか...... よし帰るか」


 俺たちは帰った。



「おお! これが邪神の宝珠か!」


 ネルネストは喜んでその宝珠をうけとる。


「誰が邪神ですか!」


「?」


「あのその邪神なんですが、由来は」


「ふむ、私も文献で読んだだけだがな......」


 そういってネルネストはその話をした。


 かつてこの大地を滅ぼさんとした名もなき邪神は魔王をつくりだした。 長く続いた破壊と殺戮、そこで現れたのが聖なる神デミウルゴス。 デミウルゴスはその力を勇者に与え、勇者は魔王と邪神を封じたという話だった。


 俺たちは話を聞き報酬をえた。


 その帰り道。


「ふむ、やはりティティは邪神か」


「ちがいます! 誰なんですか聖なる神デミウルゴスって! 聞いたこともない!」


「せやけど文献に残っているし遺跡もある。 完全にそっちの方が信憑性あるよな」


「失敬な! レージさん! 私のことを信じますよね!」


 そうティティは詰め寄る。


「うん、信じられんな」 


「な、な、なんで......」


「今までお前がやったことといえば...... おれを無理矢理この世界に飛ばした。 回復魔法をほぼ自分のために使う。 もらった菓子を自分だけ隠れて食べた。 自分で起こしたことを人のせいにする......」


「な、なんてこと、そんな信頼感がないなんて...... あなたの信仰心がないから、私の力がふえないんですよ!」


「まあ、信頼されることはしとらんしな。 しゃーないな」


「なっ! わかりました! ならば信頼されるように修行して参ります! もはやあなたたちの力を借りずとも私の力でなんとかします!」


 そうティティは鼻息荒く去っていった。


「いいんか?」


「まあ、すぐ飽きてかえってくるよ」


「そやな。 それでほんまにあいつが邪神やとおもっとるんか?」


「いいや、あいつのあの切ない頭でそんなことは考えられんだろ。 神話なんて適当に誰かが書いたもの。 あの話だってまゆつばだな」


「まあな。 あのアホ、菓子盗み食いしたときも、リスみたいにほほにいれてんのに否定してたからな。 せやけど修行ってなにするつもりや」


「さあな。 まあ飯でもくってまってようぜ」


 俺たちは宿に戻った。 だがティティは一ヶ月ほど戻ってこなかった。



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