第十三話「魔鏡剣炸裂! ゴーレム討伐」
俺たちはネルネストにいわれた山奥へとやってきた。
「どうも気が進まないな」
「まあ、確かに偉そうなやつやったな。 茶菓子もなかったしな」
「ええ、茶菓子すら出さないなんて、失礼な人物ですね」
二人は憤慨している。
(ただ菓子が食えなかったのが腹立ってるだけだろ)
「どうも怪しい」
「お金持ちってのはだいたい怪しいもんや」
「ですね。 まっとうな仕事でもうけるのは至難の業ですもんね」
(めちゃくちゃ偏見があるけど...... やはりこの仕事受けるべきじゃなかったか)
しばらく歩くと、山の中腹に蔓におおわれた神殿のようなものがあった。
「かなりでかいな」
「しかも古いですね」
「邪教言うてたけど信者多かったんちゃうの」
「ああ、だがみてみろ。 壊されたあとや燃えたあとがある」
「誰かに襲われたのでしょうか」
「やっぱ邪神やからかな」
「かもな」
近づくと、門の柱に奇怪な人の像がある。 その頭がとれ地面に転がっていた。 その顔は何かをむさぼるように食べているのかほほが膨らみ、体も踊るような格好をしてとても滑稽に見えた。
「これが邪神か......」
「なんかどっかでみたきがすんな。 ほんまにティティはこの神さんしらんのか?」
「この世界の神は私だけです。 こんな個性的で意地汚い神などいません」
「じゃあお前じゃん」
「ちがいますよ失敬な! 人間たちは悩みなとがあると、さまざまな神を産み出しますからね。 邪神だってそのひとつでしょう」
「ティティのことを皆しらんのやろ。 この世界に来たことはあんのかいな?」
「ええ、何度か降り立ったことがあります。 どうしても食べたいものがあったので」
「そんなことでくんなよ」
「しょうがないでしょ! そのときはまだ平穏だったんです。 そのあと戦争や魔王によるモンスターの増加で、どんどん力を失って移動すらできなくなりましたが......」
「信仰心を失ったからか。 まあ、いい、早く仕事をこなして帰ろうぜ」
「まあ偉いやつっほいし、報酬もバカ高いからやっておいて損はないやろ」
「ですね。 指名の依頼を成功させると、話も広まります。 有力者からの依頼は知名度をえるには有益です」
「それなら今もかなり知名度もあがったはず、ティティ何か変化は?」
「魔力は増えたようです。 ですが、まだまだ大きな奇跡を起こすには力が足りませんね」
「まだか、俺も回復を何回か使えるほどに魔力があがってるんだが、マニュさん。 どう?」
『魔力の上昇により、ヴァリアブルが二つ設定可能になりました』
「おお! 二つか!」
「なに独り言いうてんねん。 はよいくで!」
俺たちは神殿にはいっていった。
神殿内はかなり強いモンスターが徘徊していたが、リヴァ、ティティの武具のこともあり難なく先へと進むことができた。
「二つのヴァリアブルはかなり使えるな。 攻防同時におこなえる」
「ふふふっ! 私の魔力弾がうなります!」
「ウチの剣から放つ風ですべてをきりさく! どや!」
二人はみるからに調子にのっている。
(まあ、確かにポンコツ二人も魔力の装備を使えるようになったから、多少は使い物になるな)
「そういや、なんでリヴァはここにいるんだ。 精霊王と魔王がどうたらとかいってたな」
「そうや。 ウチは精霊王の命で魔王討伐のため降り立ったんや。 泥舟にのったつもりでおれや」
そう自信満々にいった。
(泥舟...... 大舟だろ。 こいつもやはりアホだな)
「まあそれで魔王のことはきいてるのか?」
「まあな。 どこかにおる魔王を人間とともに倒せとは言われた。 せやけどそんなもんすぐ見つけられるわけないやろ。 魔王とやらが派手に動かんとわからん」
「魔王ってのはいままでもいたのか」
「ええ、歴史上一度...... ただそのときは、私が人間に力を与えることで抑えました」
「魔王を倒したのに信仰心がなくなったのか?」
「人間同士の戦いにはどちらにつくことも出来ないので......」
珍しくティティは悲しげな顔をした。
「確かにな...... モンスターや魔王なら手を出せるが、人間には出だしできないなら、信仰心もへっていくか......」
「まったく人間ってのは仕方のないやつらやな」
「まあそういうな...... おい、あれ」
ズシン! ズシン!
奥から何か大きなものがこちらに近づいてその振動がこちらまで届く。
暗闇から現れたのは鈍色に輝く金属の巨人だった。
「あれがゴーレム! でかすぎだろ!!!」
「やりますよ! 魔力弾!!」
ティティの放った魔力弾が放たれる。 魔力弾はゴーレムに当たると弾けた。
「弾かれた!?」
「正確には威力を軽減されたみたいやな。 どうやら体が魔力を軽減する金属みたいや。 試すで! 風よ」
リヴァの風がゴーレムに当たるとすこし傷ができた。
「本当だ! 傷はつくな!」
「でも、あかん! かなり軽減されるみたいや!」
ゴーレムはその巨体を揺らしてこちらにせまる。
「一旦逃げましょう!」
「わかった!」
俺たちは逃げた。
「ブオオオオオォ」
ゴーレムはそう雄叫びのようなものをあげる。
ゴコゴゴゴ!!
「うおっ!! なんか地面がもりあがる! だめだ! きた道を塞がれた!」
「あれは魔法です!!」
「逃げられへん!!!」
振り返りゴーレムに向き合う。
「二人はやつの注意をひけ! ん?」
「もうあかーんん!! おかーん! 死ぬ~ー!」
「アレ! マホウ! ツカウ! ツオイ!!」
二人は錯乱している。
「お前ら!! こんなときに! くそっ! おれがやるしかない!」
「グオオオゥウ!!!」
「ヴァリアブル【走る】」
せまりくるゴーレムに走り近づくと、ゴーレムはその巨大な腕をふりおろしてきた。
「解除、ヴァリアブル【かわす】【跳ぶ】!!」
ふりおろされたゴーレムの腕をかわすと、その腕に跳びのり、さらにとび胸の辺りまできた。
「ヴァリアブル解除、ヴァリアブル【振り下ろす、刺す】!!」
バキンッ!!
剣をその胸に強く刺した。 剣は胸に突き刺さる。
「ヴァリアブル解除、ヴァリアブル【着地、受け身】」
俺は地面に着地して、受け身をとり転ぶ。
「ぐっ! 解除、ヴァリアブル【回復魔法】《ヒール》!」
回復魔法をかけながら逃げる。
「グオオオ!!!」
「ふ、二人とも攻撃だ!!」
俺はゴーレムの攻撃をかわしながら、そうさけんだ。
「あわわわわ! 風よ!!」
「来ないでください!! 魔法弾!!」
見境なしに撃ってきたため、俺にあたりそうになる。
「ば、ばか!! こっちじゃない! ゴーレムにささった剣を狙え!!!」
「えっ、なんやわからんけどエエんやな!?」
「わ、わかりました!」
二人の攻撃がゴーレムに刺さった剣に何発もあたる。
「グオオオオオンン!!」
ゴーレムが二人に狙いを定めた。
「わわわわわ!! きたあああ!!」
「あかーん! おとーんん!!」
「よし! 魔鏡剣魔力解放!!」
ドガァンンッ!!
大きな音がするとゴーレムの胸にヒビがはいり、ゴーレムがひざをついた。
「リヴァ刀だ!! ティティは俺の攻撃のあと魔力弾!!」
「お、おう! わかった!」
「は、はい!」
刀となったリヴァをもつ。
「ヴァリアブル【走る、跳ぶ】! 解除、ヴァリアブル【切る】!!」
走ってとんだ俺はゴーレムのひび割れた箇所に、叩きつけるように刀を振るう。
ザッシュ!!
ヒビがはいった胸は容易くきれた。
そして続けざまに放たれたティティの魔力弾が炸裂すると、ゴーレムはその巨体を地面に倒した。




