第十二話「魔鏡剣購入! 無駄遣い男と万能女神」
「指名の依頼?」
「はい、ある程度の名を挙げた冒険者に指名が入ることがあります。 バジリスクを倒した至高の女神と最強の精霊刀さまにぜひとのことです」
そう冒険者ギルドにいくと、受付嬢がいった。
「いいでしょう! その依頼受けましょう!」
「そうやな! ウチらならば楽勝や!」
「こらっ、また勝手に......」
(たまたまだぞ。 バジリスク倒したの)
「......しかし、失礼ながら私としてはお受けなさらない方がいいかと思いますが......」
受付嬢が眉をひそめる。
「どうして?」
「あまり大きな声ではいえませんが、ネルネストさまは、その、あまり評判のよくないお方なのです。 あの方の依頼を受けるのは......」
(どうやら問題のある人物のようだな...... さてどうするか?)
「大丈夫! 私たちならば!」
「そうや! ウチらはいいもんやねん! わるもんの仕事なんかうけへん! だけど報酬が高いなら話はきいてみる!」
二人が調子にのり話は聞くことにした。
「勝手に...... まあ、しかたない。 でもそろそろ装備をととのえよう。 前の戦いで剣の刃がかけたからな」
(こいつらに頼れん以上、すこしでもいいものを身に付けとこう)
「そうですね。 私は杖とローブを新調しましょうか!」
(お前はほぼ使わないじゃん)
「ウチは剣がほしいわ!」
(お前が刀じゃん)
はしゃぐ二人のざれ言を聞き流して武具屋にいく。
「ティティ魔力が強い武具をおしえてくれ」
「えーと、私が思うのは......」
「いや、お前の考えはいい。 ただ魔力の強い武具をおしえてくれ」
「なんなんですか! 私のセンスが信じられないと!」
「じゃあ、ウチはな......」
「いや、魔力の高いものでいい」
「なんやとウチは刀の精霊やぞ!」
「それならこれならばどうでしょうか」
店の親父が奥から一振の剣をもってきた。 それは黒い鞘で、抜くと剣身が鏡のようだった。
「これは......」
「それはうちにある剣の中でも最高の一品。 【魔鏡剣】《ミラーブレイド》、魔力をため解放することができるものです」
「魔力をためるか......」
「はははっ、なんで魔力をためる必要があるんですか」
「くくくっ、そうや。 なにボケとんねん」
「お前らがばかにするなら...... じゃあこれくれ」
「はい、まいど」
「なんでなんですか!」
「なんなんやお前は!」
俺はその剣を買い取いとった。
「全く、無駄づかいはダメですよ。 そんなお高いものをかって、まったく男の人は趣味に無駄にお金をかけるから」
「そうや、そんな経済観念のない男はもてへんで、ほんま」
二人はぶつくさいっている。
「うるさいな。 お前たちにも買っただろ。 うっさいから」
二人には魔力の指輪と剣を買っていた。
「うっさいとかいわないでください! 私の【魔弾の指輪】、魔力を弾として発射できるんですよ。 回復だけではなく攻撃もできるなんて、更に私は万能となったんですよ!」
「一度も回復してくれたことないけどな」
「ウチのは【風波の短剣】《エアロソード》や。 魔力で切り裂く風をはなつで、かわいいウチにぴったりや」
「刀の精霊なのに剣がいるのか?」
「攻撃手段がないからな。 ウチは誰かに使ってもらわなあかん。 せやけどお前ら二人とも刀の使い方は素人や。 ウチも戦った方がええやん」
「まあな...... だがそんな高額なものをかったからためてた金がなくなったぞ」
「まあいいではないですか。 すぐ稼げますよ」
「そうやぞ。 金は天下の回りものや。 けちけちすんなや。 もてへんぞ」
(さっきと真逆のこといってるって考えられないんだろうな)
ネルネストの屋敷についた。 その屋敷は途方もなく大きい。
「なんたることですか! 女神の私を差し置いて、このような神殿のようなところに住まうとは! 神罰がくだりますよ」
「そうやな! こういうとこは大精霊のウチの屋敷にふさわしい! どうせわるもんや、やったるか!」
「ぶっそうなことをいうな」
「至高の女神と最強の精霊刀の方々ですね。 お待ちしておりました。 主人がおまちですのでどうぞ」
屋敷の使用人から部屋に入るように言われた。
そこには大柄な貴族のような中年の男性がソファに座っていた。
「私はネルネストという。 お前たちがバジリスクを倒したときいたのだが、本当か」
「そうです。 私たちが倒したのです」
ティティは胸を叩いた。
「いや、お前は酔ってた上に石だったろ」
「そうやぞ! 戦ったのはウチらや」
「いや、お前は逃げただろ」
「......まあいい。 そんなお前たちに手にいれてもらいたいものがある」
あきれたように俺たちのやり取りをみていたネルネストは話を切り出した。
「なんですか?」
「邪神の宝珠だ」
「邪神の宝珠?」
「うむ、古代に流行った邪教があった。 今や名前すら忌まれて残ってはおらんが、その神殿に眠るとされる宝珠をもってきてもらいたい」
「そんなものなにに使うんですか?」
「私はただの好事家だ。 さまざまな遺物を集めておる。 冒険者などを雇い、そのダンジョンとなった神殿へと向かわせたが、皆逃げ帰ってな」
「そんな強いモンスターがいるんですか」
「ふむゴーレムなんだが......」
「ゴーレムなんか容易いでしょう」
「そうやな。 ウチらも簡単に倒せた」
「いや、それもおれが倒したんだろ」
「......それならば受けてくれるか。 報酬は弾もう」
「戦ったのはミニゴーレムだったしな。 普通のはみたことがないぞ」
「いいじゃないですか。 私たちなら楽勝です」
「そうやぞ。 いまや魔法も使えるウチらに敵はない」
そういって二人は勝手に依頼をうけた。




