第十話「至高の女神と最強の精霊刀《ディーヴァブレイド》」
「う、嘘でしょう...... もうEクラスのエンシェントシェルを倒したなんて......」
冒険者ギルドに帰ると受付嬢が驚いている。
「ではDクラスへと昇格になります。 おめでとうございます!」
「よし、次は......」
「あ、いい忘れてましたが、Dクラスになられたのでダンジョンへの入場許可が与えられますよ」
「ダンジョンへの入場許可?」
「ええ、古代の遺跡、魔法の迷宮などをダンジョンといい、そのなかには古代の遺物や宝物があります。 ゆえにDクラス以上の冒険者しかし入ることが許されません」
「なるほど」
「ふむ、ならばそこを攻略できれば名声もえられるというわけですね! ぜひいきましょう!」
「そうやな! ウチらならば容易く踏破するしな!」
二人はそうわらっている。
「おい! あいつらもうDクラスだ!」
「確かいま噂の【至高の女神と最強の精霊刀】《ディーヴァブレイド》か!」
そう周囲の冒険者の声がきこえた。
「おい、至高の女神と最強の精霊刀ってなんだ?」
「なにいってるんですか? 私たちのパーティー名ですよ」
「はぁ? 初耳だぞ」
「レージがトイレにいってる間に名付けた。 ええ名前やろ」
そう笑顔でリヴァルガが答える。
(こいつら勝手に......)
「それにしてもあのわかさと美貌で強いとはな」
「ええ、憧れるわ」
その周囲の声をきいて、二人はのけぞるぐらい胸をはり、ゆっくりとあるいている。
(それはなにバウアーだ...... しかもしっかり聞いてるくせに、聞こえてないふりしやがって)
「でも、あの強さには秘密があるらしい」
「ああ、聞いた。 闇の魔法だろう」
(ん? 闇の魔法)
「確か顔にまっ白い化粧を施し、奇怪な服をきていてにやついていたという」
「きっと邪神かなんかの儀式だわ...... 恐ろしい」
(あいつらのメイク、儀式だと思われてる!)
二人をみると背中を丸めて下を向いて足早にギルドをでた。
「ま、まて」
(まいったな......)
二人が表情がみえないぐらい下を向いている。
(あのバカ二人がここまで落ち込むとは...... へこむという繊細な神経があったのか、意外だ)
「まあ、あの......」
「......やはり、私たちの評価はうなぎ登りですね......」
「えっ?」
「せやな。 飛ぶ鳥を落とす勢いとはこのことやで......」
「なっ......」
「もはや、すぐに信仰心は青天井は間違いなし! いひひひひひ」
「そうや我らの前に敵なしやで! けははははは」
二人はそう高笑いする。
(こいつらへこんだんじゃない! ただ単に笑いをこらえてただけだった! いいほうの言葉しか届いてやがらない! へこんどけよ!!)
俺は心のなかでそう叫んだ。
「......それでお前たちがうるさいからここにきたのだが......」
目の前に洞窟のようなものがある。 二人がどうしてもここに来るといって聞かなかったからだ。
「うるさいとはなんですか。 ダンジョンを攻略できれば、名声はさらに高まります」
「そうやで、それに宝もんも仰山あるらしいやん」
(不純な。 これでも女神と精霊なのかよ)
「どうでもいいがティティ、信仰心は高まってんのかよ」
「......すこし力が増したような感じがします」
「お前はこの世界の神様なんだよな。 町にも神殿があったが、お前の名前なんかなかったぞ」
「......そうやな。 確か【アルコーン教】とかいうのの【デミウルゴス】とかいう神様がまつられとったな。 なんかそれが主神ぽかったけどな」
「ち、ちが......」
「ま、まさかお前! 女神なんて嘘なんじゃないのか!」
「あり得るで! 確かに女神っぽさがなにもない! よう考えたらただのパーや!」
俺たちは距離をとる。
「誰がただのパーですか! 違います! 私がこの世界の唯一の神ですよ! 何ですかその目! 疑ってるんですか!」
「「うん」」
「なにシンクロしてんですか! 私は神さまです!」
「そうはいっても確認しようがないからな。 証明できるのかよ。 お前が神だという証拠は」
「証拠なんてありませんよ!」
「なんや邪神か! 邪神やないんやったら、証明してみい!」
「ないものはないんです! 女神に悪魔の証明しろっていうんですか!」
「大丈夫だ。 わかってる。 悪気はないんだろ。 お前に悪さを考えられるだけの知能はないのはわかってる。 なっ、なっ、本当のことをいえ」
「なんなんですか、その優しくない優しさ! 本当に女神です! 今は能力がなくなっただけです!」
「じゃあ能力を失ったことで、知能もなくなったんか?」
「失敬な! 知能はなくなってません!! 信仰心がなくなってしまっただけですよ!」
「信仰心......」
「神ってのは信仰心がなくなると、その存在も稀薄になるらしいで、だから信仰心をえるため、人を加護し奇跡を起こすんや」
「そうです。 でもこの世界はモンスターの驚異と、戦争などで信仰心が失われて......」
「なるほど、それで力をうしなったのか」
「まあ助けてくれへん神さまなんか信じられへんよな」
「つまりお前がさぼったんだな」
「ちがいます! ちゃんと助けてました! ただ徐々にうまく力が使えなくなっていったんです......」
「それってどういうこと?」
「......多分、戦争や魔王の存在が影響してるのかと......」
「そういや忘れてたけど、そもそもなんなんだよ魔王って?」
「魔力が遥かな年月あつまり意思をもった存在らしいな。 精霊みたいなもんやけど、邪悪で歪な存在やな。 それが生まれると、手当たり次第に魔力のあるもんをとりこみあやつるんや」
「ふーん、つまりそいつがお前を邪魔してるってことか」
「ええ、私の力も魔力も同じもの。 それを阻害してこの世界の魔力を取り込もうとしているのでしょうね。 私のことはともかく早く信仰心をえて力をえないと......」
珍しくティティはなにかを考えているようだった。




