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ラインスナイプ! 世界を驚かせた高校生テニス少女の物語  作者: ヨーヨー
第三章 県大会編

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第41話 県大会の幕開け

体育連盟の大会を制した紗菜は、次なる舞台として県大会に挑むことを決めた。

強豪校の選手たちがひしめき合う大舞台。会場の空気は重く、緊張に包まれている。

けれど、白いグリップを握りしめると、不思議と心は静まった。

初めての県大会――その幕が、いま上がる。

体育連盟の大会で優勝を果たしたあと、紗菜はすぐに次の挑戦を決めていた。――県大会へのエントリー。

あのときの賞金で参加費をまかなえたこと、そして「もう少し広い舞台に立ちたい」という気持ちが重なったこと。申込み用紙を書き終えたときの手は震えていた。だが、書き終えて封を閉じた瞬間、胸の奥に灯った小さな火は、決して消えなかった。


そして今日。いよいよその県大会の初日を迎えた。


「……深呼吸、深呼吸」

ラケットケースを背負い直し、靴ひもをきゅっと結ぶ。胸がどきどきしている。体育連盟の大会のときよりもずっと強い緊張がある。でも、不思議と怖くはない。



審判の声が響き、第一戦が始まった。

相手は県内の高校に所属する一年生。緊張しているのが一目でわかる。サーブを打つ前から肩が固まり、ラケットの面も定まらない。返ってくるボールは浅く、力もなかった。


紗菜はそれを受け止めるように、落ち着いたフットワークでラリーを重ねた。焦らず、一本ずつ。ときどき軽くコースを変えると、相手はすぐに振り遅れ、ミスを重ねていく。

(相手を崩す必要はない。自分のリズムで、確実に積み重ねるだけ)

結果はあっという間にストレート勝ち。胸の奥で小さく「よし」と呟く声がした。


――第二戦。

今度の相手は二年生。力強いフォアを得意としているようで、アップの時から大きなスイングを見せていた。だが、コートに立ってラリーを始めると、その力強さも紗菜にとっては想定の範囲内だった。


「はっ!」と相手が強打してきても、紗菜はすぐに反応し、軽快なフットワークで深いリターンを返す。相手のボールは速いが単調で、コースを読んでしまえば脅威ではなかった。

紗菜はバックからクロス、そして逆サイドへ展開。あっという間に相手の体勢を崩し、最後は軽やかに決め球を叩き込む。

(うん、落ち着いてる。全然怖くない)


観客席から小さなどよめきが起きる。「返すの早い」「動きが全然違う」――そんな声が耳に届いた。紗菜は深呼吸し、また一本。相手の打球を見切り、左右に振ってラリーを支配する。終わってみればスコアは圧勝。危なげのない内容で二戦目を終えた。


――第三戦。

相手は粘り強さで知られる三年生。どんなに振っても簡単にはミスをしない。最初の数ゲームはラリーが長引き、紗菜の足にじわりと疲労が溜まる。

(崩れない……でも、必ず隙はある)


相手の返球をじっと観察すると、体力を消耗したときにバック側の足がわずかに遅れるのが見えた。そこを狙ってバック側へ深く打ち込み、次に逆サイドへ鋭く展開する。相手の足がついていけなくなり、ついに浮いたボールが返ってくる。

紗菜は迷わず前へ踏み込み、渾身のスマッシュを叩き込んだ。


「ゲームセット! 勝者、三浦!」

審判の声に、観客席から拍手が湧いた。


全勝。予選ブロックを堂々と突破した。


ベンチに腰を下ろすと、白いグリップが汗で少し湿っていた。タオルで軽く拭きながら、紗菜は静かに息を整えた。

(緊張もあった。でも……楽しい。もっと戦いたい)


視線を上げると、午後から始まる決勝トーナメントの準備が進んでいた。コートを包む空気は、午前よりもさらに熱を帯びている。

紗菜の胸の鼓動も、それに応えるように高鳴っていた。


この思いを胸にさらなる戦いへと向かう紗奈であった。

予選三試合を戦い抜き、堂々の全勝突破。

相手が誰であっても、自分のリズムで一本ずつ積み重ねれば勝てる――紗菜はそれを確信した。

午後からは決勝トーナメント。

緊張と興奮の中で、彼女の挑戦はさらに熱を帯びていく。


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