第29話 決着へのカウントダウン
決勝戦は順調にリードを広げたものの、相手は全国大会を経験した強者。最後まで簡単には崩れず、執念を見せた。観客も固唾を呑み、緊張感は最高潮に。紗菜は楽しむように、冷静に、主導権を握り続けていた。
スコアボードには「3-0」の文字が光っていた。
会場は「三浦!」「いけるぞ!」と声援の嵐。だが、相手は全国の舞台を知る選手だ。簡単に崩れるはずはない。
次の相手のリターン。
――パァン!
鋭いセンターへの一撃。紗菜は反応して返すが、相手はすぐさま逆クロスへ走らせ、最後はフォアでラインぎりぎりを突いてきた。
観客がどよめく。
(まだ余裕を持ってる……ここからが本気ってことだね)
続くラリーは十数回。相手は深さと角度で揺さぶり、紗菜も軽快なステップで拾い返す。観客が固唾を呑んで見守る中、最後は相手が渾身のダウン・ザ・ラインを叩き込んだ。
「15-40!」
紗菜は汗を拭いながら微笑んだ。
(うん、強い。けど楽しい!)
結局、そのゲームは相手が取ることとなった。
会場からは大きな拍手が沸き起こった。
「やっぱり全国経験者、簡単には崩れない!」
「ここから盛り返すかも!」
ざわめきが広がる中、紗菜はベースラインに立ち、自分のサービスゲームに臨む。
一球目。センターへ強打。相手のリターンは深いが、紗菜はステップを刻み、体をひねって逆クロスへ打ち抜いた。
「15-0!」
二球目は外角スライス。相手は無理に拾ったが浅く浮き、紗菜は一気に前に出てスマッシュ。
「30-0!」
観客席が再び沸く。
(崩れてない。主導権はわたしにある!)
相手の粘り強さに一瞬デュースまで持ち込まれたが、紗菜は落ち着いて組み立てを変え、高さのあるボールで時間を奪い、最後はバックを突いてポイントを奪う。
「ゲーム! 三浦!」
スコアは4-1。
観客が一斉に拍手を送る中、相手は深呼吸をして紗菜を見据えた。
(……すごい。本当に天才だ。このままでは押し切られる)
スコアは4-1。
だが、相手はここからが本当の勝負だと言わんばかりに集中を高めた。
次のゲーム。
サービスを武器に、鋭いセンターへの一撃で「15-0」。
続くポイントも外角への強烈なサーブで押し込み、フォアで振り切る。
観客席から歓声が上がる。
「まだまだ終わらないぞ!」
「さすが全国経験者だ!」
粘り強いラリーが続いた。紗菜も必死に走り、全てを拾い返す。だが相手は動じない。深いストロークで揺さぶり続け、最後はライン際へと決め切った。
「ゲーム! サーバー!」
4-2。
歓声が沸き起こり、会場は再びざわめきに包まれる。
紗菜はベンチに戻り、水をひと口飲んだ。
荒い呼吸を整えながら、心の中で呟く。
(やっぱり……簡単には勝たせてもらえない。でも、だから楽しいんだ!)
再び立ち上がり、自分のサービスゲームへ。
一球目、センターへ伸びのあるサーブを叩き込み、リターンが浅くなったところを逆クロスへ突き刺す。
「15-0!」
二球目は外角スライス。大きくコート外へ逃げていくボールを相手は無理に拾ったが、高く浮いた。紗菜は素早く前へ飛び出し、スマッシュ!
――バンッ!
「30-0!」
観客が大きな拍手を送る。
「やっぱり強い!」「崩れてないぞ!」
だが相手も簡単に崩れなかった。リターンで思い切って打ち込み、何度もラリーを続ける。深いボールに紗菜が押され、デュースに持ち込まれる。
(ここで慌てたらダメ。冷静に、高さと深さで……)
紗菜はトスを高く上げ、回転量の多いサーブを外角へ。弾んだボールに相手が差し込まれ、甘く返った。
紗菜は下がらず踏み込み、バックへ打ち込んでポイント!
「アドバンテージ、サーバー!」
最後はセンターへ見せかけて外角へ。相手が逆を突かれ、リターンはネットに吸い込まれる。
「ゲーム! 三浦!」
5-2!
会場は立ち上がらんばかりの歓声に包まれる。
「あとひとつ!」
「決めろ、三浦!」
だが相手も全国経験者の意地を見せる。
次のゲーム、自分のサーブを徹底して武器にし、丁寧に組み立てる。
深いラリーで粘り、コーナーを突く正確なショットを放ち、最後はライン際に落とす。
観客も「うまい!」と声を上げるほどの一打。
「ゲーム! サーバー!」
5-3。
(……本当に強い。この人、最後まで全然崩れない!)
紗菜は胸に手を当て、鼓動を確かめる。速く、でも迷いのないリズム。
フェンスの向こう、兄が視線を送ってくる。
静かに腕を組み、声は出さない。それでも、目が「行け」と語っていた。
(うん……ここで終わらせる。お兄ちゃん、見てて!)
次は自分のサービスゲーム。
スコアは5-3。
決着の瞬間が、すぐそこに迫っていた。
観客席は総立ちに近い熱気に包まれる。
誰もがこの瞬間を見届けようとしていた。
一方で紗菜の胸は高鳴っていた。
(相手が本気を出してくれてる。……だからこそ、もっと楽しい!)
全国経験者の粘りを受け止め、それでも揺るがずリードを保った紗菜。兄の眼差しに支えられ、観客の声援を力に変え、彼女はついに優勝まであと一歩というところまでたどり着いた。次のゲーム――自らのサービスゲームで決着をつける瞬間が、目前に迫っている。会場の熱気は、もはや爆発寸前だった。
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