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ニクのカタマリ  作者: 丹空 舞


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9/20

ニンゲンドック ニ

まずは、受付である。




にっこりする可愛いお姉さんの目の前に、問診票と検体を出さねばならない。



「こちら、本日採取されたものでお間違いありませんか~?」



と言われる。




おそらく、自分の排出した物達を、他人に凝視されるのは成人してからは初めての経験である。


少し心が折れそうになるが、ハイッと元気よく返事をする。







まずは小部屋に案内され、腹回りを測る。


メタボではない場合は何とも思わないが、オジサマ連中はここで腹を凹ませてジタバタしているであろう。



想像してにやつく。


チンケでせこい優越感だ。




「あっ、去年よりピーーーーセンチ増えてますね!!」




優越感が薄氷のごとく瓦解していく。




まさか、そんな……。


ビールやら焼き肉やらがこの血肉になっているのか……。


年を取ればオジサンもオバサンも似たような生き物になるのかもしれない。






涙目になりつつも、次に採血である。小さい瓶に3本くらいなのだが、体感で2リットルくらい血を抜かれる。


倒れてしまうんじゃないかと思う。


もう帰りたくなる(※本日2回目)が、これは序盤だ。







次に身長と体重を測る。


身長が少し伸びていて嬉しくなる。


誰だ、大人は背が止まるといったのは。


直前の背筋伸ばしが良かったのかもしれない。





そのあと、X線でレントゲンをとる。


スムーズに終わる。





続いて、マンモグラフィだ。


これは婦人科の検査で、わかりやすく言うとオパーイを板で挟んでつぶしたところの写真を撮るというものだ。


これが痛い。


ものすごく痛い。


たぶん、男性の局部を30cm×30cmくらいある金属の板で挟みこんだ上から小学一年生が二人乗っかるくらいの痛みだと思う。



出産とか、事故とか、病気とか、そういう人生でトップに入る痛みの次点くらいのレベルである。


ただ、15秒くらいなので、叫ぶ前に終わる。


しかし、これが4回続く。


4セットだ。


気分はもはや胸部の陣痛。


そろそろ胸から何か産まれそうと思った頃、ようやく終わる。




「あれ~? いまいち映ってないのでもう一回とりましょ」




おいおいおいおいおい!!!!!!!!


という場合もあるので油断しないよう。








その後、婦人科検査がある。

おおむね割愛するが、細胞をとったり、エコーで子宮や卵巣を見たりといった検査だ。妊娠後の赤ちゃんの定期検診とほぼ同じだ。経産婦であれば、10回くらいはこの検査をして慣れきっているので余裕だと思う。が、初めてだったらちょっと泣くかもしれない。




その後、眼科の検査だ。

暇だからとスマホを直前までいじっていると、視力が悪くなって後悔する。

また、目の硬さを測る検査では、風が当たる。

忍者の吹き矢なみに早い風圧が来る。

ビビリには辛い検査だ。


そして、腹部を超音波で見られる。

このために絶飲食をしてきたので、どうぞ見てくださいという気持ちで台に横たわる。

吸ったり吐いたりしながら、看護師さんの言いなりになる。

私はもう、あなた様の下僕です……。

わりと長いので、奴隷根性が芽生える。





そして、ラスボス。


バリウムである。

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