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ニクのカタマリ  作者: 丹空 舞


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10/20

ニンゲンドック サン

バリウム。





もうこれだけで何か怖い。


響きが怖い。


バリっていうのは何かが破れたり壊れたりするときの音だ。


ウムは薬品っぽい。





帰りたい(※3回目)。






容赦なく名前を呼ばれるので、死刑台にあがるジャンヌ・ダルク(男性はルイなんとか世のつもりでいてください)がごとく、一歩を勇敢に踏み出す。



「はい、バリウムの前にこちらドウゾー」




恐れつつ、聴力と心電図を行う。


もうラスボスのことで頭がいっぱいである。


心電図に響いているに違いない。





「はーい、では次イトオシでーす」


「いとおし?」


「バリウムですー」



そして、遂に胃通し。


いとおしといっても全く愛おしくない。


バリウム検査である。




待合室には一切何も聞こえてこず、逆に怖すぎる。


自身の胃の健康状態も気になるが、これから密室で行われるであろう理不尽な命令と、一方的な蹂躙の予感に心底怯えながら待つ。




どうかどうか、優しい看護師と医師でありますように。





看護師さんが来る。


「注射を打ちますか?」

というわけのわからない質問がされる。


嫌なので断固拒否である。


「そういう人もいらっしゃいます」

と看護師さんが苦笑する。



ああ、そうだ、私はそういう人だ。

某ビッグダディのようなことをうそぶきながら、虚勢を張って順番を待つ。



聞くところによると、ゲップを堪えて台の上を回るみたいなやつだ。


字面だけで既に意味不明だ。


運命やいかに。





ここであまりにも不安になり、検査のこつをググる。




①バリウムは舌でなく口の奥に入れて飲み込む


②いちご味が飲みやすいらしい


③無心で飲む


④顎を引いて飲む


⑤深呼吸や肩を回して飲む





飲み方だけである。もはや飲み込むところがハイライトなのか。


よし、とりあえずいちご味を選ぼうと心に決める。






名前を呼ばれて小部屋に入れられる。


愛想のよさそうな看護師さんが、少し太めのソーセージくらいの筒を持っている。


長さは三センチほどだ。


もう一つ同じ大きさの筒があり、その中にはドロッとした白い液体が入っている。



「これを全て飲んで、ゲップを我慢して下さい」

と言われる。




ちょっと待ってください。

思ったより余裕である。

いや、意外と苦いのかもしれない。

あれだけ飲み方のこつが記載されていたラスボスだ。




飲む。




いちご味かは分からないが、まあ、これくらいならセーフの範疇だ。

しゅわしゅわしてるのが胃を膨らませてくるし、液状化したヨーグルト餅のようで辛い。

が、我慢できなくはない。



あれっ、私は世界に選ばれた人間なのでは????????



成り上がり主人公、主人公最強、チートの文字が脳裏によぎる。



ありがとう神様、私はバリウムの覇者としてこの異世界で名を残す!!!!!!!!!!!!




看護師さんが微笑む。


「あ、全部飲めましたか? では、こちらの残りを全部お飲みください」






紙コップになみなみと注がれた何かを渡される。


ずっしりと重い。





「これは何ですか?」




中学校の英訳でしか使ったことのない日本語を発する。






「バリウムです」


と、看護師さんは言った。





「まさかこのコップいっぱいのズッシリした液体?を、飲めと言うのです? 全部?」


まさかそんなことはないだろう。


こんなモルタルとかセメントみたいな重量感の飲み物、これまでに出会ったことがない。


「はい、全部です!」


と返ってくる。



こだまでしょうか。


いいえ誰でも。





「頑張って!」


とジェスチャーつきで応援されながらバリウムを飲む。



グーグル先生のアドバイスを思い出すが、量が多すぎて、舌の先も根元も無い。


口中の全てがバリウムに染まっている。


いちご味かどうかはもはや分からない。


というか、これを仮に別のフレーバーにしたとしても、イヤ度が変わる訳では無いと思う。




何しろ重い。


体内に入れてはいけないモノを入れている感じが凄い。


例えるならば、液体消しゴムを飲んでいる感じだ。


あれ健康のために来てるんだよね?


泣きそうになるが、有無を言わせずに看護師と放射線技師が準備を始めている。





こうなれば、脳を騙すしかない。


体に入れるべきでない異物を飲んでいると捉えているであろう自分の脳に語りかける。





いいか、これを飲まないと死ぬ。


これを全て飲めば助かる。





泣く気力もないので、グググググッと飲み干す。


減らない。


なんだこれは魔法の紙コップか?




「はーい、どんどん☆ どんどーん」




わんこそばじゃないんだから、どんどん飲めるわけないでしょう????







最終章

「試される腕力! まわる世界!」へ続く

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― 新着の感想 ―
人間ドッグ、お疲れさまでした。 バリウムは飲まない派なのでいつも胃カメラにしてますね。 カメラは鼻からも入れられるけど私は口からです。 まー胃カメラなんかよりも大腸内視鏡のが段違いに辛いッスねー(Φω…
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