表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

14/14

14 デート②

 

 絢辻ちゃんからの勝負の提案を、舞は案外すんなりと受け入れた。


「別に良いけど」


 そんな感じの返答だった。

 本当に適当だ……。もっとも、ここで余計に反論したり拒否したりすると、それが後々面倒になってくるから、それについて考慮してくれたのかもしれないが。


「じゃあそれで決まりで! 早速、戦おー!」


「いや待ってくれ絢辻ちゃん。プレイアクションの予約は10時半からって言っただろ?」


「ぁあ、そうだったね……。あと1時間」


「うん」


「じゃあ何かする?」


 何かするっていうか、うん。

 何かして時間を潰す以外の選択肢はないだろう。幸いにもここはショッピングモールだ。

 時間を潰す方法はいくらでもある。


「そうだなあ」


 僕はこっそりと入り口で貰っていたショッピングモールのマップガイドを開く。


「なんかいー店ないのか?」


「もうちょっと具体的にしてくれよ、舞」


 マップを覗き込み言われたので、当然の要求を返す。

 すると、


「それぐらい察せなきゃ、スパッツなんて見せられないぜ?」


 そんな耳打ちをしてきた、非常に小さい声で。

 絢辻ちゃんには聞こえてないだろう。つーか聞こえてたら問題になる。

 汐留瀧がスパッツ好きの最低な変態だとバレてしまう。


 ……いや、実はもうバレてるのか?

 どうしてか僕が舞に告白した事を知っている風だしな。


「うーん。ど正論」


「分かったのなら早く探せ」


「分かってるって」


 にしても、短時間で店を選ぶのは難しいよな。店舗数も尋常じゃないしさ。

 広さも半端ない。


「近場なところで行くと……そーだな」


 女の子のお買い物と想像すると、勝手に服屋とか──その辺りを妄想してしまう。

 まあ、なんつーか、王道だろう。

 服屋とかは。

 妹とか相手だったら、普通に服屋に行っただろう。


 でも今回は違う。今は違う。


「そーだな」


 もうちょっと考えてみよう。

 いつもとは違う感じ。一人ならあまり行かなそうな、でも良さげな店をチョイスしてみよう。


「二人とも、此処とかどうだい? 『アロマ・レインボル』」


「なんか、可愛い名前だね」


「ああ。キャンドル専門店らしい」


 パンフレットに載る写真付き概要には、そのまんま書いてあった。

『色とりどり、様々な匂いのあるキャンドルを販売しています。キャンドルくじや、キャンドル占いなど催し物があります。オーダーメイドも承っています』


 カラフルなキャンドルが木棚にのせられている所が、説明通り写真に収められている。


「へえ、良い店見つけたな。タッキー」


「タッキーはセンスがいいなあ」


 どうもどうも。

 褒めても何も出ないけどね。


「お気に召したようで何より。じゃあ、早速行ってみようか」


『アロマ・レインボル』は僕たちのいるショッピングモール南2番口の近くにあるようである。

 ここから歩いて数分をかからないで着く距離だった。


 ショッピングモールなんだから当たり前だろとツッコミを入れたい方も入れるかもしれないので言っておく。


 ──田舎の土地の広さ、舐めないでもろて(エセ関西弁)。



 ◇



 キャンドル専門店というのに、僕は初めて訪れた気がする。

 別にキャンドルについては知っているし、興味がなかった訳でもない。が……わざわざ足を運んで見に来るほどでもなかった。

 そんな感じ。


「なぬ、……こ、このキャンドル可愛いぃ」


「これは猫?」


 早速、棚に置かれているキャンドルに目をつける絢辻ちゃん。視線の先にあったのは猫型のロウに仕上がっている白色のキャンドルだ。

 可愛い。

 しかし値段は可愛くない。


「そうですにゃよ、きっと」


 アロマ・レインボルは残念ながら決して広くはないけど、棚でぎっしりと詰められていて、なんつーか……雑貨店みたいで僕は好きだった。


 こういう雰囲気良いよな。

 魔女宅みたいっつーか。


 天井に灯りはなく、棚の中にランタンが置いてあったりして洒落ている内装だった。

 まるでカフェ見たいである。


「これとか、良いじゃねぇか」


 舞も一応女の子なのか、キャンドルに目を光らせている。

 一つのキャンドルを手に取って吟味していた。いや、別に食べてたわけじゃないけどさ。


 まるで食べているのではと錯覚するほど、凝視していた。


「なんだそれ」


「アロマ──ラベンダーの香りのするやつだってよ」


 紫色のロウに銀色の紙で側面が包まれている、コイン状のキャンドル。

 絢辻ちゃんが見ていた猫型の物とは違って、お値段も手頃である。学生に優しい。


「お風呂とかで使うとリラックス効果がある、か」


 商品が置かれている横には、そんな風に謳い文句が書かれたポップが設置されている。


「値段も手頃だし、良い感じじゃないか。せっかくなら買っていったら?」


「……どうするか」


「陸上での疲れも取れるかもしれない」


「タッキーとの変態的な会話にツッコム疲れも取れるかもしれない」


「ごめんて」


 その時、


「タッキー!」


 後ろからのほほん系の彼女が話しかけてきた。手には商品を持っている。さっきとは違った。


「なにそれ? ピンク色の派手なキャンドルだけど」


「そうなんですよ! これ、めちゃくちゃ良い香りがして凄いの! それに恋愛成就のご利益があるんだって!」


「お、おう……」


 グイグイとくる。

 体を押し付けて、そのキャンドルについて推してくる。

 恋愛成就って……。


 買おうかな、僕も。


「買おうよ、一緒に」


「あー……遠慮しとく。つーか絢辻ちゃんの選ぶキャンドルはどれも──いや、なんでもない」


「?」


 高いやつばっかなだな、と言おうと思ったが……流石にデート中に値段にうるさくするのは禁句だよう。

 ダメな男な気がする。


「僕はそうだな、これを買うことにするよ」


 でも値段だけ気にして、せっかく来たのに買わないのも勿体無いだろうし。


「なにそれ」


「ガーデニアの香りがするやつ」


 ガーデニア。

 またの名をクチナシ。

 この花言葉は『喜びを運ぶ』である。


テストで忙しい為、水曜日まで休載します!

今日からテストでやばいです

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ