第33話 利害関係の終わり
更新を待ってくれている方がいらっしゃれば、
ブックマーク・いいね・評価していただけると嬉しいです!!
仕事も覚え、主戦力としてやっていけるようになっていた頃、僕に再び異動の辞令が下った。
千葉の真ん中あたりにいたのだが、千葉の端の方への異動となった。
県内の異動であり、もともと広告の品がなかった時など取りに行って接点は持っている店舗への異動だったので、人間関係も0からのスタートではなかった。
そのためスタートは好調だったのだが、僕の前任が仕事ができず、店舗が回らなかったので僕が異動することになったのだが、僕が赴任すると店長は仕事をしなくなってしまった。
全て僕に投げ、自分はなにもしていなかった。
だがそれでも前の店舗に比べると客足も売り上げも半分以下の規模だったので僕はこれと言ったストレスなく仕事をこなしていた。
僕は転職を心に決めており、転職活動を始めていた。
店長も、というかほぼすべての社員も転職したいと考えているが、行動に移す人はほとんどいなかった。
そしてお互いに転職したい、しんどいなど愚痴を言い合っているだけでぬるい仲間意識を持ってやっていた。
今回の店長もそのタイプであり、口では転職を応援していたのだが、実際に僕が転職活動を始めた途端あたりがきつくなった。
自分は仕事をしておらず、すべて僕に任せているのだが、なにかあったら「どうせやめるつもりだからてきとーにやっているのだろう」と言ってくるようになった。
仕事自体は楽しかったのだが、店長や会社からのストレスが煩わしい日々を過ごしながら、僕は次の会社を社長や人事の責任者と仕事ができる職場と決めて活動していた。
求人広告の仕事に焦点を当て、リクルート系の中途採用を狙っていった。
その間にもプライベートはそれなりに楽しんでいた。
今度の家の近くにはダーツバーがあった。
僕はほぼ毎日そこに通い、ダーツを教えてもらい、お酒も飲み、常連さんたちとわいわい遊んでいた。
ここでの僕の生活はこのダーツバーがメインになっていた。
その頃、長野に居た頃お世話になった上司が、左遷されていくような部署に異動になっていたことを知った。僕は驚き、長野の男性の同期に連絡を取ったのだが、繋がらなった。
そのため仕方なくあの彼女に電話をした。
「もしもし?」「あ、僕やけど――(電話が切れる音)」
といった感じで、僕だと認識した瞬間に電話切られた。
そしてすぐに向こうから電話がかかってきて、慎重に言葉を選ぶように探りを入れられた。
正直この時僕はまだ彼女に未練があった。
だが今回の電話はそういった話をする気はなく、1年ぶりぐらいに電話をしたのだった。
ちゃんとした別の目的があって。
結局聞きたかったことは聞けたのだが、電話が終わるころには僕の彼女への想いは冷めきっていた。
冷めるとはこういうことなのだと初めて味わうことができた。
今まで確かにあった熱が、ある一点を通過して一瞬にして冷めきっていく様を僕はまざまざと体験できたのだ。
この経験は新鮮で僕にとって楽しい経験となった。
1年以上ぶりに電話をし、彼女は僕がまだ彼女を引きずっていて、未練がましくまた連絡をしてきたと思ったのだろう。どれだけ自分に自信があり、どれだけ僕も見下げているのか。
繰り返すが、実際僕は多少の未練はあったのだが、その未練など一蹴してあまりあるほどの想いが溢れたのだった。
それから僕は彼女との思い出を客観的に判断して、馬鹿なことをしていたなと思い、その中でもあの時彼女にアプローチせずにいてよかったと自分をほめていた。
結果的に僕は彼女を利用しつくした形になり、彼女も僕を利用しつくす形になっていた。
お互いの利益のために一緒にいただけで、利害しかなく愛はなかったのだ。
それはそれで構わないと思うのだが、そこに愛があるかのように思わせよう、思おうとしていたということだけが馬鹿だったと言わざるを得なかった。
こうして僕の彼女との利害関係は完全な終わりを迎えたのだった。




