第3話 不幸に向かっていく勇気
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ある日僕は親友と喧嘩をしてしまう。
原因はなんともかわいいもので、親友の所有していた電動のエアガンが僕が使った後に電池が切れてしまい、僕が壊したと思われたことだ。
僕は壊れるような遊び方をしていないと思っていた。
親友は最後に使ったのが僕だからと僕を責めた。
ただ電池が切れただけのことで、後日解決したのだが、解決するまでの間僕は親友と口を利かなかったし、その間喪失感を抱えていた。
34歳の僕にはわかっている。
それ、電池切れてるだけだよ。
その場で電池切れの可能性を示唆し、あの頃、9歳の僕にとっては大きかった喪失感を埋めることは容易にできる。
僕は今の僕には、より自分の人生を豊かにすることができるのだと改めて認識してしまった。
そして、僕がRe ariseした意味はそこにあるのではないかと思案した。
だが、やはり僕にはまだ一歩が踏み出せなかった。
もしここで電池を変え、喪失感を得なかった場合の未来はどうなるのだろうか。
昔バタフライエフェクトを題材にした映画を見たことを思い出し、今ここで波紋を広げることは僕にとって好手なのだろうかと考え、踏み出せなかった。
総括すると僕の34歳までの人生は悪くはなかっただろう。
愛する妻がいて、子どもがいた。残してきた家族は心配だが、また僕の家族に会うためにもできる限り同じ人生を歩む必要があるとも考えていた。
Re ariseに意味があるかはわからない。
であればリスクは冒せない。
34歳管理職、リスクヘッジは得意なのだ。
そして9歳の僕は定まった「不」運を確定させることをまた選んだのだった。
ま、おじさんにとってはなんてことはないし、そもそも結末を知っているのでどうということはなかったのだが。