第29話 恋は盲目
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次のお互いの休みがあったタイミング、僕らは遠出のデートをした。
そしてその日の締めくくりに僕は彼女に告白をした。
彼女は困った顔をして、時間が欲しいと言った。
大学生の時に経験したフレーズだったが、この時の僕はただ待っているだけではなかった。
彼女が答えを出すまでの間もずっと今までと同じように接し、好意をぶつけ続けた。
そして彼女は答えをだした。
僕は振られた。
僕のことは大切だが、彼を裏切れないとのことだった。
既に裏切っているのにも関わらず、だ。
そして彼女との関係は終わり、正常な友人としての関係になった。
のだが、彼女の彼は北陸の大学院生だった。
かなりの遠距離でなかなか会うことができなかったのだ。
そして身近には、彼女を大切に想い、触れることができる僕がいた。
彼女もまた、強い人間ではなかった。
またすぐに僕と男女の関係を持つことなった。
そうしてまた曖昧な関係が始まり、再度告白し、振られ、ということを何回も繰り返した。
ある日、僕との関係が彼に気づかれてしまい、修羅場があった。
僕は彼女と彼の馴れ初めを知っていた。
二人の始まりは略奪だった。
彼女が付き合っていた彼の親友が、今付き合っている彼だったのだ。
親友の彼女を奪うという行為が理解できなかった。
そして僕が覚悟を決めたのと同様に、奪うのなら奪われることも受け入れるべきだと思っていた。
そんな思いとは裏腹に、どちらを選ぶのかと彼に迫られた彼女は彼を選んだ。
そうして僕だちの関係は本当に終わった。
かに思われたのだが、結局彼女はまた僕と曖昧な関係になった。
彼女は弱すぎる人間だった。
そして僕はそこに付け込んでいた。
こうして数年、最低で最悪な気持ち悪い関係がずるずると続いていくことになるのであった。
10月頃。僕の異動が決まった。
次の配属先は千葉だった。
冬にはウィンタースポーツを楽しもうと思っていたのでショックだった。
そしてどうせなら逆にしてほしいと思った。
夏は千葉の海を楽しみ、冬は長野でウィンタースポーツを楽しめたのに、と。
僕は長野から離れ、彼女から離れ、関東へと進出することになった。
そして気軽に触れられるというメリットがなくなってしまうことは僕にとって看過できる問題ではなかった。
僕は意を決して、今までの告白よりもしっかりとした告白をすることにした。
だが結局僕は言えなかった。
根性だとか勇気がないだとかではない。
気持に自信が持てなかったのだ。
今思えば、自分も付け込んで利用しておきながら、彼女の行為に対して違和感を感じており、添い遂げる相手ではないと感じていたのだろう。
そして後々、「あの時あの場所で告白していたら僕の方に来ていた。」とどこかで聞いたセリフを数年後に聞くことになるのであった。
そうして告白をせずにデートが終わり、異動日が近づき、僕と彼女は物理的に離れてしまった。
だが関係は続いており、たまに2日連続で休みが取れた時などは仕事終わりすぐに長野まで向かい、彼女の家に泊まり、男女の関係を続けていた。
だがこの頃の僕は精神的にぼろぼろだった。
異動前の僕は大型店に勤務しており、社員もアルバイトもたくさんいた。
だが、異動後の店舗は社員は3人だけで、全部門を担当しなければならなかった。
休みでも店長から電話があればすぐに店舗に行かなければならず、休みも休まることがなかった。
終業後も、広告の品が店舗にない場合、在庫がある近隣店舗まで取りに行き、自店に持っていかなければならなかった。
その店は売り上げが全店の中でも屈指の店であり、特別忙しかった。
通常は社員が2人なのだが、忙しい店なので僕も含めて3人となっていたほどだった。
そして僕は1部門を半年担当していただけの新人で、急に全部門を、それも以前に比べて圧倒的に人員も少ない中でやることはかなりの負担を強いられることだった。
僕は責任感が強く、仕事はしっかりとやり遂げる人間だった。
そして僕にとってこの会社が1社目の会社であり、僕にとってはここが社会人としての基盤となっていた。
今思えば当たり前にブラックであり、有り得ない働き方をしていたのだが、当時はそう思うことはなかった。毎日笑顔で過ごし、家では死んだように過ごしていた。
ある日、パートの女性に「あんなに店長にいびられているのに元気だね」といった旨の言葉をかけてもらったのだが、僕は店長にいびられている感覚がなかった。
大型店から小型店へと異動となり、急に仕事の裁量が増え、できないことが多かった。
そのため教育に手がかかることは明白であり、僕は店に迷惑をかけている。
店長の対応は全うだと思っていた。
だが後々店長が変わって、確かに僕はいびられていたのだと理解した。
だが、そこでやってこられたのは、先輩に恵まれていたからだった。
店長、先輩、僕しかいない中、先輩は僕をかわいがってくれた。
ご飯に連れて行ってくれ、パチンコや車いじりを教えてくれた。
僕は先輩とよく過ごすようになり、仕事ができる先輩だったので仕事のことも色々教えてもらった。
ギリギリの精神状態で過ごしていたのだが、先輩と、たまに会える彼女がいたから僕はなんとかやっていけた。
そんな中僕は運命の出会いを果たすことになる。




