第28話 自分の都合が良い様に考える生き物
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僕の寮は店舗から車で30分ほどのところだったのだが、同じ店舗の僕とは違うグループリーダーと一緒に住んでいた人が結婚して寮をでることになったため、僕は入れ替わりで店舗近くのその寮に入ることになった。
近いと言っても車で15分かかるのだが。
そして1か月もしないうちにそのグループリーダーも結婚して寮を去った。
そのため僕は新婚夫婦が住む間取りの家を一人で使うことができた。
そして、飲み会の場も僕の家に変わっていった。
その頃、男性の同期はあまり顔を出さなくなっていた。
恐らく僕らの曖昧な関係に気が付き、気を使っていたのだろう。
そして僕の家で毎日のように二人だけの飲み会が開かれ、彼女が恋人と電話するために離籍している時間が辛いと感じるようになっていった。
僕が今いる寮は、続けて二人、結婚して出ていった。
僕はもともと家族が欲しかったので、結婚願望が強かった。
そして、結婚していく先輩たちを見て羨ましく思っていた。
そして僕の身近な候補者は同期の彼女しかいない状況になっていた。
結婚すれば法的拘束力が発生するし、不倫は絶対にしてはいけないことだと思っていた。
もちろん恋人関係の間に浮気をすることも駄目だと思っていたのだが、人間とは自分の都合が良い様に考える生き物で、それは僕も例外ではなかった。
彼女は結婚していない。法的拘束力はない。それなら奪ってしまっても問題はない。
そう思い、そして、自分がするからにはされる覚悟も持たなければならないとも思い、僕は彼女を奪う決意をした。
そしていつも通りの二人の飲み会を終え、いつも通り同じ布団に入り、僕は彼女にキスをした。
そして彼女はそれを受け入れ、僕たちは男女の仲になったのだった。
それからの生活に特に変化はなかった。
僕たちはいつも通り日々を過ごし、休日が重なればいつも通り一緒に色んなところに出掛けた。
事実婚ならぬ事実恋人だった。
男女の仲も続いていた。
彼女の恋人が来る時は、朝まで一緒にいて、朝に行為を行い、夜は僕の残りを彼に上げている気分で寂しさをごまかそうとしていた。
そうした不健全でふしだらな関係を続けつつ、僕は仕事に励んでいた。
日常生活は全てを一人でやっていたし、料理もしてお弁当も作っていた。
もう誰の力も借りずに生きていくことができるようになっていた。
お盆休み、父と母が長野の僕の元に遊びに来ることになった。
そこに合わせて休みを取ることはできなかったのだが、僕が仕事の時は父と母は長野を観光していた。
そして僕の店舗での仕事ぶりも見ていき、記念にカーペットを購入し、割と長い間ずっとそのカーペットを使ってくれていた。
僕も休みの時は3人で観光し、ご飯を食べ、地元の天然温泉にいった。
そこで父と二人で露天風呂に入りながら色々な話をした。
父の新人の頃の話や、僕の仕事の話などをしながら、湯に浸かり、上がってからは共用スペースで母も交えて3人で談笑し、地ビールを買って家に帰り、家でお酒を飲んだ。
その時間は幸せであり、僕は家族のありがたみを感じていた。
そして数日の家族との大切な時間が終わり、父と母は悲しみを堪えて帰っていった。
僕は、父と母に安心してもらう選択肢として、結婚をより一層意識するようになっていた。
そして僕は居心地がいいだけの曖昧な関係をやめる決意をし、彼女にちゃんと告白することにしたのだった。
次に休みが合ったタイミングで、僕は彼女を名実共に奪うことを決めた。




