第12話 恋人と大学受験
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順調にRe ariseしていた僕も高校3先生になった。
不幸の檻から解放され、定められた「幸」へとあと少しとなっていた。
そしてこの年は僕に初めて恋人ができる年だ。
結論を知っている僕からするとこの恋もまた呪いでしかないのだが、当時の僕からするととてつもなく影響力を持つことなので整理しておこう。
例によってバンドのHPからまた出会いが始まる。
今度は愁いを帯びていないノーマルな女性だった。
高校生からしたら少し遠い、電車で一時間ほどの距離にいたので中々会おうとはならなかったのだが、僕たちはすぐに仲良くなった。
そして会うことになった。
結果その日に付き合うことになり、初めてのキスをし、帰りのバスを何本も逃すという、
年相応のそれらしいことも経験した。
僕は満たされていた。
自分を受け入れてくれる存在が家族以外にいることが嬉しかった。
僕は彼女に愛を求めた。体は必要なかった。
年頃の男性だったので僕にも性欲というものは多分にあった。
だが僕は性について慎重だった。
体を求めることは軽率なことで、彼女を大切にしていないかのように感じていたのだ。
そうして中々次の段階へ進まないまま半年が経ちクリスマスになった。
僕は受験生だった。彼女は就職勢だった。
この時の僕は、34歳の僕からするとすでに呪いにかかっており、彼女といる時間の方が大切だった。
彼女が人生のすべてになりかけていた。
そのため勉強を疎かにしていた。やるべきことをやるべき時にできる人間なのでアルバイトをやめたのだが、その大半は彼女とのデートというのが実態であった。
そこにアルバイトまであると勉強できないという結論に至り、アルバイトを犠牲にしただけのことだった。
クリスマスの話に戻るが、僕らは二人だけで一緒にいられる空間で朝から夜まで一緒に過ごすことにした。僕も勉強ができるからという理由もあった。
僕は朝から彼女といられることが嬉しかった。彼女も喜んでいた。
だが問題は夜だった。
お別れの時間が近づいてきている。
僕は満たされている。彼女は満たされていない。
僕は彼女に責められたのだ。
なぜなにもしてこないのか、と。
僕は満たされていたのが自分だけだと気づき、ショックだった。
彼女は肉体的な繋がりも求めていたのだ。恐らくもっと早い段階で。
お付き合いにおいても僕は自慰行為に耽っていたのだと気が付かされた。
僕はそういった人の感情に疎かったのだ。
バンド活動やバイトにおいてコミュニケーション能力は培われていたが、実際の人の感情の深いところや機微には疎かった。
そして後悔を抱えた僕の初体験は苦いものとなり、僕はその行為そのものを経験を伴った苦痛として記憶した。
それは今後の僕にとって大きな影響を与えるとになるのだが、ここでの後悔は勉強の方にあった。
僕は初めてできた彼女に傾倒していた。
そのため本来の目的である勉強が疎かになっていた。
結果、志望大学のランクを下げることになってしまった。
まー平たく言えば受験に失敗したのだ。
結果僕は彼女にも振られることになる。
彼女は裕福とは言い難い環境にいた。
大学にもいけず、就職をすることを常々嘆いていた。
そのため、夫になる人は将来有望でなければならないと思っていた。
そして大学受験に失敗した僕を彼女はあっさりと捨てた。
合格発表の知らせをしたその電話が終わる前に振られてしまったのだ。
いっそ清々しいとさえ34歳の僕は思うし、ブレない芯を持っているので34歳の僕であれば彼女の選択を支持するだろう。
だがこの時の僕は、こんなにあっさり捨てられるのかと、やはり人間の汚さを噛みしめていた。
だが、きっと僕の性に関する価値観を形成したのは彼女との付き合いがあったからで、結果進学することになった大学に行ったから今があるのだろう。
そのため僕は今回もこの体験をしなければならない。
34歳の僕には、決して呪いなどではなく僕らにとっての真実の愛を誓い合った女性がいる。
だがこれから17.8歳の僕は高校生とお付き合いをすることになる。
なんとも背徳に塗れた、興味のない無駄な時間を過ごすのだと辟易とする思いである。
人生の分岐点となるであろう大学受験のこの瞬間に、今まで自分の力だけで乗り越えてきた僕が他人に傾倒していたとはなんとも可笑しな話である。
だが地獄の終わりは近い。
僕は嬉々として予定された定めに則った。




