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異世界転生後輩  作者: 一之三頼
第一章 ウラッセア王国騒乱
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更なる武勇伝を

「ほぅ、怪人殿の新しい武勇伝かね?」

「えぇ。現状では襲来した敵を撃退すると言う、単調で武勇伝と言うには物足りない結果です。」

「ふむ。確かに今更その程度の戦果では怪人殿の武勇伝に加えるに値しないな。よろしい、続けたまえ。」


アプローチを変える事でトリア公に聞く耳を持たせる事に成功する。

ゲーランを信じるトリア公には負ける可能性よりも、勝つ事によって発生する心理的な利益を説く方が有効だったようだ。

途中から交渉は破局するかに思われたが、災い転じて福となす。

トリア公の内心を窺う事が出来、交渉に活かせる着想を得られた。


「ここは誰よりもゲーラン殿を信じるトリア公の援助によって、戦争を終結させると言う武勇伝を創り出すと言うのはいかがでしょうか。」

「確かにそれは興味深いが、領主として我欲の為に兵士たちを戦地に送り込む訳にはいかんな。」

「反攻の際には我々の兵を抽出して連れて行きます。懸念されているトリア領の兵士は防衛、および領内の治安維持に用いさせて頂きます。」


俺の交渉にトリア公は領主として至極真っ当な返事をするが、ここでフリードが援護する。

戦争の指揮官としての権限を活かし、トリア公の拒否要素を払拭する。


「無論、防衛とは言いましたが、こちらから攻勢を仕掛ける関係上、敵は防衛に戦力を回す事が予想されますので実際にトリア公の兵士たちが戦う事は無いでしょう。」

「ふむ………。」


トリア公の兵士たちが戦う事は無いから安心するようにフリードは伝える。

正直、フリードたちが前線で戦う中、他の貴族たちは人的被害を受ける事が無いと言うのは不公平だと思うが、それでも何らかの形で協力をしてもらわないと現状を打破できないのも事実。

トリア公が協力してくれるのであれば、彼の取り巻きの貴族たちもトリア公に従って協力してくれるだろう。

フリードの望む結果に繋がるのであれば、余計な事は言わない方が良いだろう。

それにフリードの事だから『トリア公の兵士たちが』と言って他の貴族の事は言及していないので、言葉通りトリア公の兵士だけを防衛や治安維持に用い、他の貴族の兵士は前線に連れて行く可能性が高いし。


「よかろう。援助を約束しよう。エウリア大陸の交易権と怪人殿の武勇伝と引き換えに、三千の兵士と兵糧。それと軍資金として金貨五万枚を提供する。」

「ありがたき幸せでございます。」


トリア公の了承を得て俺とフリードは頭を下げる。

これでどうにか交渉は成功だ。

現状を打破出来れば、タガミ先輩を探しやすくなる。

リエフの街で徴兵され、今はどこにいるのか、そもそも生きているのかさえ分からない。

それでも無事を信じて一歩ずつ進んで行かなくては………!


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