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異世界転生後輩  作者: 一之三頼
序章 転生
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合言葉と筋肉と後輩

先輩に連れられて裏路地に入る。

大体異世界ってこういう裏路地にはチンピラとか小悪党がたむろしてるイメージがあるけれど、入って大丈夫なんだろうか。

そんな心配を余所に先輩はどんどん進んで行く。

そして一軒の建物のドアを『ドンドンドンドン』と4回叩く。

すると『ドンドン』と2回ノックが返ってくる。

更に先輩は『ドンドン』と2回ノックすると…………


『その手は』

「差し伸べる為にある。」

『入れ。』


中から声が聞こえてきて先輩は返事をする。

一体何なのだろうか。暗号か?暗号なのか?

急に異世界っぽい事し始めたぞ。

と言うか、この世界に来て初めて異世界らしさを感じた。

なんかカッコいいぞ。


「ほら、さっさと入るぞ。」


先輩に促されて建物の中に入るとそこには………


「よぉ、新入りか?」

「はい。ほらユウキ、挨拶しろ。」

「は、はい。ユウキリョウタって言います。」


輝くスキンヘッドと服の上からでも分かるほどの筋骨が印象的な黒人の大男がいた。

色々質問をしたいけど、見た目的に威圧感があって質問しづらい。

先輩は普通に振舞っているけど、こんな見た目の奴が目の前に現れたらビビるぞ。


「リョータか。オレはジャック・ベイカー、この転生者相互共助会、通称『差し伸べる手』のリーダーだ。よろしくな。」

「よろしくお願いします。」


『差し伸べる手』か。

さっきの合言葉と言い、ようやく異世界に来たんだって感じがする。

それと、ジャックさんは現地住民って言っても通じそうな位、異世界でも生きていけそうな位の筋肉をしている。


「しっかしひょろっちいな。シンディもそうだが、体力があるに越したことはないぞ。」

「は、はぁ。」

「ジャックさん、誰も彼もが貴方みたいにガタイが良いわけじゃないんですよ。それより色々と説明できていないんで、ここで一通り教えてやりましょう。」

「お願いします。」


そんなあんたみたいに筋肉がある人の方が少数派だろ、と心の中でツッコミを入れる。

先輩は俺の代わりにツッコミを入れて話を進めてくれる。

ジャックさんみたいな見た目の人にツッコミを入れるのって結構勇気がいると思うが、それほど親しいのか、慣れているのか。

ともあれ先輩たちから話を聞く事にしよう。


「さて、どこから説明したもんか。」

「それなら、さっきから気になってたんですけど、ここに入る前にやってたアレってなんですか?」

「アレ?あぁ、俺がノックしてた事か。」


何らかの暗号である事は分かるけど、それが何を意味しているのか分からないのだ。


「俺が4回ノックしたら2回ノックが返って来たよな?」

「はい。」

「その後更に2回ノックをした。4、2、2。この数字の並びから何か分かるか?ちなみに小学生低学年あたりでも理解は出来る法則だ。」

「…………………割り算、ですか?」

「そうだ。転生者相互共助会の建物を訪ねる際にはノックした回数に対して割り切れる数のノックが返される。その答えをノックする事で合言葉を求められる。合言葉はさっきジャックさんが言ったようにこの相互共助会の別名『差し伸べる手』だ。『その手は』と聞かれたら『差し伸べる為にある。』と返すことで身内の人間かどうかを判別するんだ。ここ以外にも相互共助会はあるから、覚えておくように。」

「へぇ、結構凝ってるんですね。」


暗号の仕組みは理解出来たが、そこまでする必要はあるのだろうか。


「情報ってのは色んなとこで使えるもんだ。各地の情報を集めて連携する『差し伸べる手』に潜り込んで利用したい奴はいくらでもいるだろうよ。そう言った連中の養分にならない為には必要な事だ。」

「なるほど。」


そう言われると納得できる。

むしろ一番最初に出会った商人は転生者の存在を知っていたのに俺を利用しようとしなかったのは何故だろうか。

恐らくはこの世界に来たばっかりで質問しまくった事が原因だろうけど。


それにしてもようやく感じられた初めての異世界感が筋肉と合言葉って…………。

もう少し別の何かで体感したかった。


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