表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転生後輩  作者: 一之三頼
第一章 ウラッセア王国騒乱
45/246

協力者は少女?

フリードは右腕を胸の前に、左手を後ろに回し、礼をとり、俺もそれに続いて同じポーズをとる。


「ようこそお出で下さいました。ルセロア公。」

「カイギの時、ちゃんと静かにしていたのだわ!えらいでしょ!」

「えぇ、とても。」

「だからこの前のお話の続きを聞かせてちょうだい!」

「もちろんですとも。」


ドアを開け放ち、入室してきたルセロア公はフリードの元へ歩み寄る。

会議中、静かにしていたことを褒めてもらいたそうに胸を張り、ご褒美をねだるその姿は、幼い少女そのものだった。

貴族でこそあるが、年齢的に会議の内容を理解する事は難しいだろうし、会議中にずっと無言だったのも理解できる。

しかしフリードは先ほど、ルセロア公が協力者であるかのような物言いをしていたが、実は見た目に反して知恵者だったりするのだろうか。

そんなことを考えながら、ニコニコしながら童話を聴くルセロア公を眺めていた。


「ありがとう!とっても楽しかったのだわ!」

「喜んで頂けて何よりです。」

「今度お礼を送らせていただくのだわ!」

「ありがたき幸せ。」


今のところ、童話を聴く姿は普通の少女そのものであり、知的さを感じさせる要素は見当たらない。

至って普通に童話にワクワクし、目を輝かせる姿は確かに癒しになるだろう。

フリードもストレスが溜まる生活を送っているだろうし、純粋無垢な姿に癒されたかったのだろうか。

確かに先ほどの貴族たちよりは味方をしてくれそうだが、頼りになりそうかと言われると別問題だ。


「ところでクリストフ殿の行方は?」

「全然見つからないのだわ。早くセンソーが終わってくれないかしら。」

「努力はしているのですが、他の諸侯の協力を頂かなくては厳しいですね。」

「リィンおじ様は負けないって言ってたけれど、そうなの?」

「えぇ、負けこそしませんが、勝てませんね。それもルセロア公の援助によってどうにか成り立っている、というのが現状ですので。」

「むぅ……、それじゃあ王都の方にはまだ探せないのね。」

「残念ながら。」

「ままならないものだわ。財宝ならたくさんあるのに、それを生み出したクリストフがいないだなんて………。それに彼のお話はいつも財宝以上に魅力的だし、ディーゴも寂しがっていると思うのだわ。早く会いたいわね。」


ルセロア公はフリードの話を聞き、悲し気にため息を吐く。

先ほど会話の中に出てきたクリストフという人物は、どうやらルセロア公にとって重要な存在のようだ。

話の流れ的には恐らく行方不明、もしくはタガミ先輩みたいに連れていかれたという可能性もある。

しかし財宝を生み出した、財宝以上に価値のある話をする人物か。

本題はそのクリストフという人物だろうし、聞き逃さないようにしておこう。

それに『ディーゴ』という人名、どこかで聞き覚えがあるような気がするが、一体どこで聞いたのだったか………。

そんな事を考えながら話を聞いていると、


「ところでフリード、この人は?この前のカイギの時に連れてきていた人とは違うのだわ。」

「あぁ、ハルフェ、前回の従者は今回は来ていないですよ。リョータ、名乗る事をを許す。」


ルセロア公が唐突に俺に視線を投げかけて話題に挙げる。

一応は従者役だからと黙って話が終わるのを待っていたが、何故急にこちらを見るのか。

しかし相手は少女と言えど貴族だし、粗相をする訳にはいかない。

かと言って失礼のない美辞麗句なんて分からないから、当たり障りのない返事をするしかない。


「はい。ユウキリョウタと言います。」

「ふーん………。わかったのだわ!この人もイセカイジンなのでしょう!」

「ご明察の通りです。」

「そうだと思ったのだわ!なんだか雰囲気が違うもの!」


そこまで雰囲気が違うのだろうか。

確かに生きてきた環境が違うし、他人から見たら違いがあるのかもしれないな。

そんなことを考えていると、ルセロア公は幼い少女らしい屈託のない笑みを浮かべ、


「ねぇ、リョータ!」

「はい。」

「何か面白い話をしてちょうだい!」


無茶振りをしてきた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ