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異世界転生後輩  作者: 一之三頼
第一章 ウラッセア王国騒乱
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解釈と可能性と

「それならさ、食べてみてマズかったら試練で美味しかったら恩寵って考え方をしても良いんじゃないか?」

「へぇ………。」

「それは……………!」


聖典の記載がどうとか、試練がどうとか、恩寵がどうとか、色々と話しているけれど、ふと思った事を口にする。

するとフリードは短く呟き、アニエスはカッと目を見開く。


「リョータさん!」

「な、なんだ?」

「貴方こそ主の御遣いだったのですね!」

「いや、大袈裟過ぎるだろ。」

「でもオレもその考えは無かったなぁ。」


大興奮でアニエスは俺の手を取り、目をキラキラと輝かせながら、グイグイと顔を近づける。

その横でワーズギーも腕を組んでウンウンと首を振っている。

そこまで目から鱗な事を言った訳では無いのだが………。


「僕は面白い、良い考えだと思うよ。頑迷な宗教家を説得できたのだからね。」

「頑迷って………。普通に興味はあったみたいだし、背中を押しただけだろ。」

「それが中々に難しいのさ。僕はどいつもこいつも盲目的な態度で否定されるたびに何度強引に口にねじ込んでやろうかと思った事か………。それに僕は信仰を盾にする連中は論破する事で認めさせようとしたけれど、解釈と言う観点で説得しようとしたことは無かったからね。」


若干引き気味にアニエスをあしらっているとフリードも感心したように語り出す。

フリードは信仰を持ってる人たちの事を頑迷だと語るけど、そう言うフリードも十分に頑固だと思う。


「フリードはやたらとジャガイモを推すけど、どうしてなんだ?」

「成長が速く、瘦せた土地でも育つからね。国力とは即ち人口であり、ジャガイモは多くの人口を養う事に適しているんだよ。国力が高まれば経済を豊かに出来る。軍備を整えて国を守ることが出来る。外交においても軽んじられることが無い。つまりは国の土台と作り得る食材なのさ。それを異端などと言うくだらない理由で認めないなんて、僕からすればあまりにも愚かしいと思うのさ。」

「お、おぉ…………。」

「「???」」


フリードは長々とジャガイモの可能性を語り出す。

先程まで見せていた優雅な微笑みを一転させ、とても真剣な表情で、かなり熱心に。

それを隣で聞いていたアニエスとワーズギーは頭に疑問符を浮かべて首を傾げている。


「とりあえずきちんとご飯を食べられるのは良い事ですよね!」

「なんだ、そう言う事かよ。」

「………見たまえ、リョータ。これが教育の重要性だよ。君は安直に思考放棄しない分、本当に仲良くしたいと思っているよ。」


フリードの表情が再び余裕のある微笑みに戻ったが、その背中はどことなく哀愁が漂っているようにも感じられた。

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