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異世界転生後輩  作者: 一之三頼
序章 転生
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拾われた後輩

夢と希望に溢れる異世界生活なんて無かった。

ひたすら勉強。勉強。勉強。


「おかしい。何故俺はこんなことを………。」


異世界に来て紆余曲折あって身ぐるみを剥がれたけど、転生前の世界で知り合いだった先輩に拾われて今度こそラノベとかで描かれているような楽しい生活を送れると思ったのに。


「何もおかしくはないだろ。ユウキはこの世界に来たばっかりでこの世界の常識なんて知らないんだから。」

「でも先輩、普通異世界に行ったら自然とその世界の言葉とか読み書き出来るようになるもんじゃないんすか?」

「残念ながらこの世界はそんなに甘くはないんだよ。むしろ言葉が通じる分ラッキーだぞ。これで話も出来なかったら詰んでるからな。」


そう、この世界の人と言葉こそ通じるが読み書きは出来ないのだ。

しかも地域によって違いがあるから覚えなくてはならない事があり過ぎる。

英語すら得意じゃないのに異世界語なんて苦戦するに決まってる。


「それに俺のところから独り立ちするにしたって、この世界の知識が無いと困るだろ?」

「そりゃあ、そうっすけど。仮に独り立ちなんてまだまだ先の話じゃないっすか。」


いつまでも面倒を見てもらう訳にはいかないだろうけど、それでも独り立ちして上手くやっていくビジョンが見えない。

想像してた異世界はもっと魔物とかが居たりして、明確な悪役が居て、そいつらを倒してヒロインや仲間たちに称賛される。そんなシンプルで分かり易い、楽しい世界だったのに。

まさか先輩の手伝いをしながら勉強漬けの毎日なんて………。


「先の事だからこそ今やるんだよ。」

「こう言っちゃ失礼っすけど、先輩って元の世界にいた時にこんなしっかりした人でしたっけ?」

「この世界に来て揉まれたからな。嫌でもしっかりするぞ。そうでなきゃ生き延びれないからな。一応今度紹介する組織のお陰で野垂れ死ぬ事は無かったけど、それでも適当にやって生きていけるほど甘い世界じゃないんだよ。」


確かに。俺も最初に出会った商人に身ぐるみを剥がれたが、そんな連中が跋扈してるって考えると酷い世界だな。いや、中世的な世界ってそれがデフォルトなのかも知れない。

先輩と一緒にいると、「北西の街道で盗賊が出た」とか「東の街で大規模な徴発が行われた」とか不穏な情報が入ってくるし。

しかし商人として活動しているが、よくそこまで情報が入ってくるな。


「ちなみに先輩を助けてくれた組織ってどんな組織なんすか?」

「あぁ、俺達以外にもこの世界には転生してきた奴らがいるのは知ってるよな。」

「はい。なんかヤバい連中がいるって話は最初に聞きました。」

「そういった名前が知れ渡ってる連中以外にも色々な転生者がいるんだよ。そういった無名の転生者が集まって出来た組織だ。」






先輩はその組織をこう言った。


『転生者相互共助会』


と。


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