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異世界転生後輩  作者: 一之三頼
第一章 ウラッセア王国騒乱
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義務教育と出身国

「ジャックから聞いたよ。君はジャックが期待していたシンディと知己であり、出身を同じくしていると。」

「タガミ先輩を知っているのか?」

「僕も一度、シンディとは会った事があってね。彼は中々に頭が回る男だった。聞いた話によると、彼の育った国には義務教育って言う子供を育成するシステムがあるそうじゃないか。」


知っているどころか、会った事もあったのか。

そしてその時に先輩から義務教育の話を聞いた。

だから先輩の後輩である俺にも着目していた、と。


「ジャック達は、まぁ………あまり頭は良くないからね。君たちの育った国にはキチンとした教育制度があるとは思わなかったんだよ。」

「俺達にとっては当たり前の事だけど………。」

「僕も昔、部下が文字の読み書きや計算が出来ない人材ばかりで苦労した経験があるからね。教育の大切さは身に染みているのさ。だから僕も母国でも教育制度を整えていたんだよ。」


ジャックさんも、レオノーラさんも、そしてフリードも、見た目的にはヨーロッパで生まれたような見た目だが、向こうの方は義務教育が存在しないのか?

発展途上国なら、教育制度が整っていなくても納得できるが、そもそも『差し伸べる手』の仲間たちは大体、自分の出身国を知らない。

それにフリードは『教育制度を整えた』って言ってたけど、元居た世界で政治家だったのだろうか?

しかしそれにしては随分と若いような気がする。


「今はこの世界の事をあまり知らないようだけど、それはこちらに来たばかりだからだろう。幼少期から教育を受けて成長した君ならば、きっと僕を驚かせてくれると期待しているんだよ。」

「フリード。話の途中で悪いけど、一つ聞きたい事があるんだ。」

「何かな?」

「フリードの生まれた国って、なんて言う名前なんだ?」

「『プロイセン』と言う国だよ。」

「………そうか。ありがとう。」


プロイセン………。

そこまで地理に詳しい訳では無いけれど、聞き覚えの無い国名だ。

有名な国であれば教育制度が整っているかどうか想像しやすいが、知らない国となると全く分からない。

しかしフリードが教育制度を整えたと言う事は、発展途上国の可能性が高そうだ。


ここまでのフリードとの会話で分かった事は大まかに三つ。

フリードはプロイセンと言う発展途上国の出身である事。

教育の大切さを理解している為、義務教育を受けて育ったタガミ先輩と俺に興味を持った事。

そして他人を利用する事に躊躇いが無い人物であると言う事だ。

先程、アニエスを利用すると語っていたが、そのアニエス本人はどう思っているのだろうか。


「話は戻るが、利用するって思いっきり公言されてるけど、アニーはそれで良いのか?」

「なんだか良く分かりませんが、皆で協力して頑張ろうって言う事と、フリードさんはリョータさんと仲良くしたいって事ですよね!」

「………まぁ、その認識で良いんじゃないかな。」


計算高いフリードでもアニエスの天然、いや天真爛漫な言動には苦笑いを浮かべている。

フリードはアニエスが利用されることに対して拒絶を示した時の為に別のプランを用意していた可能性が高いが、彼女にとっては協力も利用も変わらないようだ。


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