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異世界転生後輩  作者: 一之三頼
第一章 ウラッセア王国騒乱
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協力と利用と信頼と

「『協力』って言っているけれど、アニーの事を利用しようとしているだけじゃないのか?」

「そうだよ?」

「そうだよって…………。」


俺の疑問に対して特に顔色を変えず、ましてや動揺する事もなく、あっけらかんと言い放つフリード。


「それの何が悪いんだい?僕達は彼女が教会の人間であることを利用したい。彼女は自身に代わって教会の仲間を助けたい。お互いに利があるじゃないか。」

「助け合いとか、思いやりとか、そう言うのじゃないのかよ。」

「むしろそんな曖昧な認識で協力関係を結びたいとは思わないね。人は簡単に利益で寝返り、裏切る。それを防ぐためにはこちらも利を示さないといけないのさ。もっとも、前提として利を理解出来る人間である、と言う問題もあるけどね。」


フリードの言わんとする事も理解出来なくは無い。

しかし人間の善意や思いやりを軽んじる姿勢は共感しかねる。


「でも全員が全員、利益で裏切るとは限らないんじゃないか?」

「そうだね。世の中にはそう言う信頼出来る人間もいるだろう。」

「だったら………」

「だけど、それは圧倒的に少数だ。」

「…………。」


確かに、この世界に来てから何人も碌でもない人間を見て来た。

しかしタガミ先輩やジャックさんの様に信じられる人がいる事も事実だ。


「ジャックだって僕達が利用し合う事を承知の上で協力してくれているよ。彼らは安全を、僕達は情報を提供し合っているんだ。」

「それならジャックさんの事も、お互いに利益があるからってだけで信頼してはいないのか?」

「いや、彼の事は信頼しているよ。何せ一組織のリーダーとして仲間を大事にして尚、多数派の為に厳しい決断を下せる人間だ。彼のする決断は僕としても理解出来る。故に読みやすい。」


ジャックさんの事を信頼していると言うが、それはきっと自分の計算に組み込み易いからだろう。

本当の意味で、他人と信じ合う事がどのような事なのか、俺だって完璧に理解している訳じゃないけれど、フリードの言う信頼が本物の信頼だとは思えない。

たぶん教会で助けてくれたのも、協力を拒む修道士たちを説得するよりもアニエスに恩を売って利用する方が良いと考えたからだろう。

そしてアニエスの事を信頼しているのかと問えば、利用しやすそうだからと言う理由で信頼していると答えるのだろう。

事実、アニエスにとっては保身的な教会の人間に協力を要請するよりも、実際に行動しているフリードと手を結んだ方が捕まった仲間を助けられる確率は高い。


「あぁ、そんなに警戒した顔をしなくても大丈夫だよ。別に君たちだけが損になるような形で利用したりはしないさ。それに僕は君に興味があるんだ。」

「え?」


興味って、一体どういう事だ?


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