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異世界転生後輩  作者: 一之三頼
第一章 ウラッセア王国騒乱
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誰が為の協力

「でもアニーだけが協力しても、教会の連中が協力してくれるとは限らないぞ?さっきの修道士たちの反応を見るに、むしろ断られるんじゃないか?」


フリードの提案を聞いて、思った事を口にする。

アニエスが教会のリーダー、いわゆる教皇みたいなポジションだったなら、その協力も意味があると思う。

しかし先程の修道士たちの態度を見るに、教会内でもそこまで重要な地位にいるとは思えない。


「あぁ、彼らの意思は重要じゃない。今、重要なのは彼女が僕らと協力し合えるか否かなのだからね。」

「私としては喜んで手を取り合いたいと思います!」

「それは何より。」

「フリード、どうしてアニーの協力をそんなに重要視しているんだ?」

「さて、どうしてだと思うかい?」


フリードに対して質問をすると、彼は先程見せた余裕のある笑み、ではなく意地の悪そうな笑みを浮かべて逆に問いかけて来る。

それが分からないから聞いたんだけど………。


「僕らは君たち『差し伸べる手』と協力してはいるけれど、自分で何も考えずに聞くだけなのは戴けないからね。」

「それは、そうだけど………。」

「まぁヒントくらいならあげるよ。大事なのは実際に協力してくれるかどうかじゃないんだ。ただ協力する約束をしたと言う事実にこそ意味がある。」


この世界の事を少しずつ学んではいるけれど、だからと言って政治や策謀について詳しくなれた訳ではない。

それでも素人なりに考え、思い付いた事を回答する。

実際に協力してくれるかどうかは重要じゃない。

となると………


「共和国の連中に対して味方が増えたアピールをする為、とか?」

「アピールと言う観点は合っているね。」


共和国相手にアピールするんじゃないなら、一体誰に対するアピールなんだ?

旧王国側?

でも何の為に?


「…………ウラッセア王国ってウハヤエ教が国教だったんだよな。それなら大義名分を増やして旧王国側を一致団結させる為、とか?」

「そうだね。それも目的の一つだよ。」

「って事は他にも狙いがあるのか?」


正直、これ以上はお手上げだ。

考えても考えても思いつかない。

一応は答えを当てたと言う事でフリードは自身の思惑を語り始める。


「民衆に『教会の人間は王国軍と協力する事を決めた。』と言う噂を流すんだ。そうすれば後は勝手に噂が広がり、教会が協力をしなくてはならない空気を作り出す。基本的に教会同士で情報の共有や連絡はあまり活発ではないから、この協力も上層部の意向だと勘違いしてくれれば上々だね。」

「でもそんなに簡単に協力してもらえるのか?他の町や村の教会も、さっきの連中みたいな態度を取るんじゃないか?」

「もちろん、それも考えていない訳じゃないよ。別に物資や人員を供出しろ、なんて言ったりはしないさ。けれどポーズだけでも協力体制が築かれているって喧伝する必要があるんだ。さっき言ってたように、こちら側を一致団結、とまではいかなくても反乱や裏切りを防止する為にね。」


随分と色々考えているんだな。

しかし旧王国側の情勢は分からないが、反乱とか裏切りと言う単語を聞くに、穏やかでない事だけは確かそうだ。

一方、隣ではアニエスがポカンと口を開けて話の内容を理解出来ていないかのような表情をしている。

頭から煙でも出していそうなくらいだ。


「アニーは理解出来たか?」

「さっぱり分かりません!」

「君にとって大事なのは僕の話を理解する事よりも協力して共和国の魔の手を退ける事だから気にしなくていいよ。」

「分かりました!」


ただ、フリードの話を聞く限り、協力と言ってこそいるが………


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