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異世界転生後輩  作者: 一之三頼
第3章 教皇と■■
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せめて身近な人々、関りのある人々の幸せくらいは

大聖堂の片隅で早速、祈りを捧げようとするが……


「さて、まずはお祈りをしましょうか。」

「お祈り……お祈りって何をすりゃいいんだ?」

「そもそも何を祈るのかさえ知らないな……」

「ほっほっほ、作法はさして重要ではありませんよ。そうですな、日々の営みを見守って下さる主への感謝であったり、これからの望み、どのように生きるのかを心の中で唱えるのです。それを以て主への宣誓、いえ少々堅苦しい言い方になってしまいましたな。ともあれ、実際のところなんでも良いのです。心の中で何かしらを思い浮かべれば、主はそれに耳を傾けて下さるでしょう。」


俺もモルダも、ウハヤエ教の祈りの作法も、何を祈れば良いのかも理解せずに教会に来ている。

ディーゴに話を聞きながら祈ったり教会内部を見回ろうかと思っていたが、ちょうど本職のアンジェロが教えてくれた。

正直な所、ウハヤエ教の信徒であるアンジェロならば格式張った教え方になるのでは、と思っていたが、良い意味でフランクだった。


「そんな軽い感じで良いのか……」

「信仰の抱き方は人それぞれですので。」

「ボクは日々の安寧や義父が帰ってくるように祈りを捧げていますね。部下の船乗りに聞いた話であれば、船旅の安全や交易に向かった先の食べ物が美味しかったみたいな内容の祈りを捧げているらしいですよ。」

「本当に人それぞれだな。まぁそれならオレも気軽に祈らせてもらうとするか。」


アンジェロの語る内容にディーゴも同調し、祈り始めた。

彼らは左の片膝を地に付け、右手を左肩に付ける。

そして右手で左手から左肘の中ほどの位置を握る。

それを見よう見まねで同じような姿勢をとり、少し遅れて俺とモルダも祈りを捧げ始めた。


「(アニエスの助けに成れますように……レオノーラを見つけて連れ戻す事が出来ますように……)」


俺はシンプルにルーメンに来た理由である二人の事を思い浮かべた。

かつての明るく爛漫な姿が曇ってしまったシスター、アニエスの事を。

シスターと仲が良く、その件を知って取り乱して飛び出して行ってしまった仲間、レオノーラの事を。


「「「………………」」」


祈りを終えてチラリと他の面々を見ると、未だ目を閉じて祈りを続けているようなので、もう少し何か思い浮かべてみるか……。


「(タガミ先輩が無事に見つかりますように……ジャックの怪我が早く治りますように……アルステッドとユーステッドの兄弟仲が良くなりますように……ディーゴの義父が無事に見つかりますように……)」


欲を張って今回の目的以外の事も祈ってみる。

思えば色々な事を心配しているような気がするな。

全てが上手くいくとは限らないし、誰にとっても幸せな結末が待っているとは限らないけれど、それでもせめて身近な人々、関りのある人々の幸せくらいは願っても罰は当たらないだろう。


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