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異世界転生後輩  作者: 一之三頼
第3章 教皇と■■
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ディーゴ・コロン

「どうして分かったんだ……?」


立派な看板を視界に収めながら、疑問が小さく口から零れ出た。

尋ねた訳では無く、単純に口を衝いて出たそれを、しかしナーヤは聞き逃すことなく、いつもの様におどおどと返答する。


「え、えっと、まずこの商会が一番人の出入りが多くて……い、一番大きな建物と言う事はそれだけ人や物が集まるから、大きな建物を必要としているので……。そ、それに、この商会の前に停泊している船から降ろしている荷物の中に、前にお店で見た事のある品物と似たような物が混じっていて……そ、それ以外にもずっと荷物を降ろして補給をしていたから、一番大きな建物に見合った、活発な動きをしていて……それから……」

「分かった!分かったから!」

「すっげぇな……」


口調こそ普段と変わらないものの、その内容は非常に理知的で、ナーヤがこの短時間で多くを分析して思考している事が伝わって来た。

そんな彼女を未熟者扱いするネーシアは人を認めるハードルが非常に高い事も。

ともあれこのままではどれほど分析を聞き続ける事になるか分からないので、聞いた側としては申し訳ないが話を打ち切らせてもらう。

少なくともディーゴ商会の人間に話を聞きに行かねばならないし、会館の前、通りに留まったまま分析を聞き続けては迷惑になるだろう。

馬車を路肩に寄せて俺たちは会館に足を踏み入れる。


「いらっしゃいませ。ご用件は?……ってモルダ?」

「よっ、久しぶりだな。」

「知り合いか?」

「おう、ここの受付の一人でジャックと来た時に何度か会っててさ。」

「モルダと知り合い、ジャックさん……と言う事は『差し伸べる手』の方ですね?」

「はい、俺はユーキ・リョータって言います。」

「ナ、ナーヤと申します……えっと、私は『差し伸べる手』の一員ではなくって、『ネーシア商会』の者です……」

「『ネーシア商会』……と言う事はネーシアさんはご無事なのですね。良かったです。」


受付にいた女性はモルダの知り合いの様で、早速モルダの目的の一つが果たされた。

軽く自己紹介を終え、本題に入らせてもらう。


「ディーゴ会長と話をしたいのですが……」

「会長ですか……すみませんが会長は多忙につき今すぐに、と言う訳にはいきません。現在は商船の船長と面談をしていてここにはいないのです。」

「分かりました。また後ほど訪ねさせてもらいます。どれくらい時間を空ければ良いでしょうか。」

「ボクに客人ですか?」

「会長、お戻りでしたか。」

「面談と言っても事前に決まっていた航行計画の再確認と船長から現場の意見を聞いていただけです。そこまでの時間は要しませんよ。」


肝心の会長は不在の様で、いったん時間を空けた方が良いかに思われた。

また後で来る旨を伝えて再訪の時間を決めようとする。

しかしその時、後ろから若い男の声が聞こえてくる。


「さて、久しぶりですねモルダ。そしてお二方は初めまして。ボクはディーゴ。ディーゴ・コロン。この商会の会長を務めさせて頂いております。以後お見知りおきを。」


振り返るとそこには目的の人物が外の明るさを背に立っていた。


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