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異世界転生後輩  作者: 一之三頼
第3章 教皇と■■
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この組織のリーダーになって分かった事がある

「レナード殿……温かみのある御仁だったな。」

「あぁ、正直言って教会の上層部ってこう、問題があるんじゃないかなって思ったりもしていたけど、よく分からなくなったよ。」


つい先ほど退室した枢機卿に対し、俺とアルステッドは互いに彼に対して抱いた好印象を述べる。

しかしレナードがどのような人物であれ、問題が解決した訳では無い。


「でも結局どうするかだよな。レナード猊下が善人だとしても無い袖は、いや無くはないんだろうけど、満額での提供は断るんだろう?断るにしたって段階があるだろうし……」


実際、レナード個人がいかに友好的な善意の人であろうともそれは『個人』に対しての評価であり、それが教会と言う『組織』への信頼や好印象に直結する訳では無いのだ。

しかし仮に断るとしてもアルステッドが前述したとおり復興は必至であり、教会の力が必要になるのも事実。

もしも全てを拒絶した場合、教会の絶大な影響力とやらがどのようにアルステッドの為政に影響するか想像するに難くない。

故にロオが提示した全ての金額は断るとしても、その一部を提供する形で話を落ち着けるのが妥当な線だろう。


「そうだな。ロオ大司教の提示した額の半分でも多大な金額だ。かと言ってあまり値を下げ過ぎても我々のメンツに関わる……。本来ならば王国の復興も教会が先頭に立つ形から我々の主導と言う形にしたいのだが……なぁ、リョータ。」

「どうした?」

「お前たち『差し伸べる手』は王国の各地に根を張っているのだろう?地域や商人との結びつきもある。彼らの力を借りればどうにかならないだろうか?」

「各地に根を張っているって……そう言うと聞こえは良いだろうけど実情はそこまで影響力がある訳じゃないぞ?それにそれで教会と対立するなんて事になったら責任が取り切れない。強いて言うならアルステッドたちが何かする時にちょっと力を貸すのがいいところだと思う。」


レナードが去って穏やかになっていたアルステッドの表情は再び険しい物になっていく。

それでも活路を見出そうと『差し伸べる手』の力を借りる案を出す。

しかし、この組織のリーダーになって分かった事がある。

活動の為に広く分散しているが、そこまで大規模な組織ではない。

人数を増やしつつはあるが、それでも王国復興の主力になるだけの力は無い。

加えて広く分散していると言う事は連絡が取りづらいと言う事でもある。

様々な報告は定期的に上がってくるが、伝達速度は決して早いとは言えない。

そんな状況で下手に動いて教会と対立でもしたら『差し伸べる手』も、アルステッドもマズい事になるだろう。

一個人としてはアルステッドに協力したい気持ちでいっぱいだが、『差し伸べる手』の仲間を巻き込むとなると慎重にならざるを得ないのだ。

組織としてのメリットもあるだろうが、こればかりは俺の一存では決められない。


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