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異世界転生後輩  作者: 一之三頼
第3章 教皇と■■
222/247

教会の狙いは?

金貨五百万枚など、いくら国王になるとは言え簡単に出せる金額ではないだろう。

普通に考えれば拒否して然るべきだが、相談すると言う事は話はそんなに簡単ではなさそうだ。


「要約して話すと、彼らは王位の承認と祝福の対価として王国に対して資金提供を求めていてな。加えてラディウム領での活動を援助、口添えを頼みたいと言われたのだ。」

「断るべきだろうけど、断れない事情でもあるのか?」

「教会の権威は絶大だ。蔑ろにしてはこの先の為政にも影響が出かねない。ここの臣下たちも教会の影響下の者が多い。しかも復興の為の資金と銘打たれては突っぱねる事も出来ん。実際、復興には莫大な資金を要するのも事実だ。かと言って私が主導で行おうにも人脈は薄く、政治経験も乏しい。」


王国における教会の影響力、王様一人でなんでもできる訳でもなければ、王国の復興も急務である事等々、簡単に拒否する訳にはいかない、と言う事か。

複雑に絡み合った問題だ。

聞くだけ聞いてみたけど、俺の手に余るようにしか思えない。


「改めてとんでもない時代に、いや、だからこそ努力しなくてはな……。ともあれ、提供できぬわけでは無いが、かと言って余裕がある訳でもない。加えて言うのであれば、復興を協会が主導で行ってはただでさえ影響力の強い教会が更に勢いを増してしまう。それはあまり望ましくは無いのだ。」


アルステッドは溜め息を吐きながらも将来を見据えて自身の考えを話す。

ジョセフに国を荒らされた状況で王になった事を嘆くのではなく、前を向いて先に進もうとする姿勢には敬服する。

この姿勢を見せ続ければ、いずれは臣下たちからも受け入れられるはずだ。


「ラディウムでの活動については王として内政干渉に当たりかねないと理由を付けられるので、そちらは断る事が出来そうだが、前者がな。」


資金提供の問題をどうするか、彼は眉間に皺を寄せながら軽く指で揉む。

しかし教会から提示された要求を聞いてみて一つ脳裏を過った事がある。


「なぁ、ふと思ったんだけど……」

「何をだ?」

「むしろ資金提供を断られる前提に、ラディウムでの活動の方を呑ませるつもりだったんじゃないか?」

「ふむ、その線もあり得る。が、ラディウム領の伝統の関係上、教会の活動は困難だ。いくら王からの支援があったとて、いずれは撤退する事になると思うぞ。前例が何件かあるらしいのでな。それに内政干渉になりかねないのは事実だ。王国は各地を治める公爵に高い裁量権を与えているからな。王と言えども容易に口出しはしかねる。にも関わらず何故ラディウムでの活動に拘泥するのか疑問を抱かざるを得ない。」


俺が考えた可能性はアルステッドも考慮しており、その上で可能性は低いと認識した。

教会の狙いは分からず、目の前には重く圧し掛かる要求。

どうしたものか、と俺とアルステッドは頭を悩ませるのであった。


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