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異世界転生後輩  作者: 一之三頼
第3章 教皇と■■
219/247

ベックの来訪

マスカに戻ってから早くも一月が経過しようとしていた頃、彼は『差し伸べる手』の拠点を訪れた。


「どうも、お久しぶりですね。」

「ベック?どうしてここに?それに久しぶりって言ってもラディウムで別れてからそれほど時間は経っていないと思うんだけど……」

「先日若様、いえ、次期陛下が王都に入られまして。それで色々とあってリョータ殿に会いたいと仰っておられるので私が呼びに来たんですよ。その『色々』が中々慌ただしくて体感的には久しぶりだと感じた訳です。」


ベック。

前ラディウム公の息子であるアルステッドの部下。

そんな彼が。

聞いてみるとアルステッドもまた王都マスカに来て王位に就く準備をしているらしい。

忙しいとは言っているが、一介の民間人、正確には名目上は爵位こそ保有しているが実質的にはただの民間人である俺を呼ぶなんてどんな要件なのだろうか。


「色々って、いったい何があったんだ?」

「それについても時期陛下がお話したい事と関わってくるので、王城にてお聞きください。」


ベックから話を聞こうにもアルステッド本人の口から聞いてほしいと言われて教えてくれない。

まぁ特別忙しい訳でもなく、断るような理由もないので素直に同行するとしよう。

王城までの距離もさほど遠くもないので、ベックに続いて徒歩で向かう。


「そう言えばラディウムでは何か変わった事とかはあったか?」

「我々もラディウムを発ったのは半月前程度なので当たり前ではありますが大きな変化はありませんでしたよ。逆にその短期間で変事があれば我々は今ここに居ないでしょうし。」

「それもそうだな。」

「出立の前には次期陛下も弟様と言葉を交わされましたが、やはりぎこちないと言うか、ご兄弟と言えど主義主張の違いは如何ともしがたいようです。」

「話し合って分かり合えれば良いんだけどな……」


問題らしい問題は無かったが、相も変わらずアルステッドとユーステッドの仲はギクシャクしているらしい。

転生者や父親に対する姿勢の違い、人としての在り方の相違はそう簡単に解消できる問題ではない。

それでもこれからのラディウムの転生者と現地民の様に互いに理解し合い、わだかまりを解消してほしいと願わずにはいられない。


「それと前ラディウム公、アルバート様とランドルフ様が殴り合いの喧嘩をされていました。」

「それは結構重大な変事に当て嵌まるんじゃないのか!?」


大した事は無いかの様に語っているが、傍から聞いていると大変な出来事だと感じられる。

と言うかランドルフに殴られたら骨折とか、最悪死ぬんじゃないか……?

いや、あの二人は兄弟らしいし、前ラディウム公も実は相当な力の持ち主の可能性も……


「結果はランドルフ様の圧勝でした。」


無かった。

慈悲も無かった。


「私も最初は慌てましたが、昔はお二方とも意見が対立しては殴り合いの喧嘩をしていたらしく古参の方々は返って安心していましたね。絶対的な為政者としてではなく、対等な相手と意見をぶつけ合える、そんな昔のような振舞いをまた見られるようになったと。」


それならば問題無い、のか……?

少なくとも殺し合いをしている訳では無いのだし、古参の臣下も問題無いと言っているらしいし、うん、気にしないでおこう。

心を病んで陰鬱としているより、かつてのように家族と喧嘩する方が余程マシだろう。


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