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異世界転生後輩  作者: 一之三頼
第2章 ラディウムのヴァイキング
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二つほど進言したい事があります

「ラディウム公、即位に際して一つ、いえ二つほど進言したい事があります。」

「……せめて名前に様付けじゃダメか?」

「なりません、公爵閣下。」

「公爵呼ばわりは慣れねぇんだ!」

「言葉遣いにも気を付けて下さい、公爵閣下。」

「マーク!公爵命令だ!」

「真に臣下が忠義を尽くすのであれば諫言もまた行うのです。何も貴方様が憎くてこのように行っている訳ではないのですよ。」


新ラディウム公、ユーステッドに進言を希望すると、彼は苦々しそうな表情で公爵呼びを忌避する。

その発言も、その後に続く言葉遣いも自身の臣下に苦言を呈されて彼の表情は更に歪んでいった。

挙句の果てには公爵命令だと告げて言う事を聞かせようとするも、マークはそれを拒絶する。

このままやり取りの様子を見ていては、いつまで経っても話が進みそうにないので彼らには悪いが割って入ろう。


「その、進言させて頂いてもよろしいでしょうか?」

「分かった、分かった。言ってみてくれ。」

「まず一つ目はラディウム公の下に助言役として現地民と転生者の代表を置いて頂きたい。今回の一件は前ラディウム公の独断で政治が行われた結果、転生者が過度に優遇されて現地民に不満が募りました。故に双方の代表を介して民意に耳を傾けられる機会を得るべきだと考えたのです。」

「なるほど……その件に関しては臣下たちと議論して詳細を詰めるとする。オレ個人としてはその意見に賛同したいところだが、政の見識に乏しいからな。それに父の姿を反面教師として臣下と意思疎通を図っておきたい。」


最初の進言は前ラディウム公との面会後、フリードと話してから考えていたラディウムの政治における意思決定の体制に関して。

こちらの提示した案に神妙な表情で頷いたユーステッドは賛成の意を示しつつ、前ラディウム公と同じ轍を踏まない為にも臣下たちと話し合って決定する事を約束してくれた。


「それで、もう一つの進言はなんだ?」

「こちらは些か個人的な要望になりますが……」

「いい、言うだけ言ってみてくれ。」

「アルステッド様を連れ出した、我々『差し伸べる手』の仲間、マデリンの処遇に関してです。」

「兄上の件の……」

「すべきではない行いこそしましたが、決して悪意あってのものではありません。何卒、何卒寛容な裁決をお願い申し上げます。」

「……うーん、早速難しい問題だな。」


次の進言はグランマことマデリンがユーステッドを連れ出してしまった件に関して。

この話を聞いたユーステッドは頭をガリガリとかいて悩まし気に唸る。

前ラディウム公であれば、その説得は困難かと思っていた。

故に説得をする前に継承の儀が始まった時はユーステッドを説得出来れば良い、前ラディウム公を説き伏せるよりも難易度は下がったと内心喜んだが、彼も難色を示している。

それでもこちらの言い分を聞いてくれる分、対話は出来るのだ。

ならば粘り強く説得を試みよう。


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