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異世界転生後輩  作者: 一之三頼
第2章 ラディウムのヴァイキング
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世間知らずなままなんだから

グランマの意見に対し、掛ける言葉が見当たらずに話は終わったものとして彼女はその場を後にする。

その後、夕食が完成して皆で食事を摂る事となったが、胸の内にあるモヤモヤとした感情を表す事が出来ない。

そもそもこの場にいる皆はグランマが捕まる事を、出頭する事を知らないのだから、この祝いの席でそのような話題を出すべきなのだろうか。

仮にその話を持ち出したとしても、どのような説得すれば止められるのかが分からない。

しかし時間は限られており、問題の先延ばしをしたところで解決する訳でも無い。

和やかに、しかし葛藤を抱きながら時が流れる中、


「そう言えばーグランマはどーして大将を連れてったのー?」

「確かに。」

「愛のとーひこー的なー?」

「あっはっはっは!わたしがあと二十若かったらその線もあったかもねぇ!」


イーリスが彼女に問い掛けた。

これから捕まる事など微塵も感じさせないほどに朗らかな笑い声でイーシャの質問に答えた彼女は、そのまま何故アルステッドを連れ出したのかと言う問いに対しての返答を続ける。


「アルステッドはね、これから王様になるのさ。だって言うのに、世間知らずなままなんだからいけないよ。」

「大将がー」

「世間知らずー?」

「街に出て活動してる姿を度々見かけるが。」

「この街で見れるのは大半が転生者だよ。この世界の、この世界に最初から居た住民じゃないんだ。それにずーっと父親の庇護下にいたからか、影響を受け過ぎてるきらいがあったからね。むしろ半月程度の親離れじゃ、色眼鏡を外すには短すぎるくらいだよ。」


アルステッドが世間知らずと言う評価に首を傾げる仲間たち。

確かに城下町に度々顔を出している点を考えるのであれば疑問符が付くのも納得は出来る。

しかしそこで見えるのは転生者ばかりと言うのも事実だ。

まぁグランマの様に人生経験豊富な人間からすれば大抵の人間は世間知らずの枠に入るだろうけれど。


「本当ならもっと時間を掛けて世間を見せてやりたかったんだかねぇ……。まぁ噂の件でラディウム公が動かないようにするって点では意味があるから決行したんだけどね。」


そうだ、グランマだって本当はこんな形で学びの機会を設けるつもりじゃなかったんだ。

彼女が悪意を以てアルステッドを連れて行った訳では無いし、状況が必要に迫られての行いなら……


「ともあれ理由としてはこんなところだね。最初はごねてたけど、最後は納得してくれて助かったよ。もしもあのままごね続けるようだったら、ちょっと昏倒させて連れ出すしかなかったからね。」


最後の部分だけは聞かなかったことにしておきたい。

僅かながらに出頭を止めようとする気持ちが揺らぎそうになった。


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