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異世界転生後輩  作者: 一之三頼
第2章 ラディウムのヴァイキング
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その罪はわたしが誰よりも自覚してるさ

「力を貸すって言ったって、わたしゃ政治の『せ』の字も知らないんだよ?それがどう力を貸すってんだい?」


確かに政治的なアドバイスは難しいだろう。

しかし俺が考えている、求めている協力はそういった物ではない。


「まだユーステッドには話を出来ていないけど、ずっと考えてたんだ。ラディウム公は誰かの意見を聞く事が出来ないで今回みたいな事になってしまった。ユーステッドなら父親への反骨心からも、父親を反面教師としても部下の話に耳を貸さないなんて事は無いと思う。」


少なくとも部下の話を一切聞かないと言う事は無いと思う。

自分自身の意見さえ耳を傾けられなかったからこそ、切り捨てられた側の憤りや悲しみは理解しているはずなのだから。


「でもその反骨心と現地民の傍で暮らしてきた経験から今度は彼らを優先する政策を採るんじゃないのかって思うんだ。もちろんそれが悪い事だとは言えないけど、度を越して優遇する可能性もなくは無い。」


長い間、現地民の所で暮らしてきたからこそ歪みを正そうとして、結果的に過剰な優遇になってしまう事になれば、今回の一件の二の舞だ。

立場が変わっただけで今度は優遇されていた転生者たちが不満を抱き、何らかの行動を起こしかねない。


「だったらいっその事、転生者と現地民の代表を選んで、それぞれユーステッドに民草の声を届けてもらえば良いんじゃないかって考えたんだ。」

「なるほどね、それでわたしが転生者の代表になってほしいって事だね?」


話を聞き得たグランマは何を求められているかを理解してくれた。

俺は頷いてそれを肯定し、彼女に期待の眼差しを向ける。


「あぁ、将来的にはそこも転生者と現地民の間で選んでもらうようにしたいとは思うけど、いったんはグランマに頼みたいんだ。まぁそもそもさっきも言ったようにユーステッドにはまだ話せていないから正式に決まったって訳じゃないけどさ……」


彼女が力を貸してくれるのであれば、ひとまずは安心出来る。

人柄からしても後任者を決めるまでに転生者たちを取りまとめる事が出来るはずだ。


「あんたの考えは分かったよ。でもね、わたしは辞退させてもらうよ。」

「どうしてだ?現状の問題を理解してラディウム公にも毎日のように面会を求めていたし、適任だと思ったんだけど……」

「あの場ではお流れになっちゃったけど、わたしも自分の罪をそそがなきゃならんからね。」

「罪って」

「経緯はどうあれ、アルステッドを連れ出して半ば軟禁してたのは事実だよ。その罪はわたしが誰よりも自覚してるさ。」


しかしグランマは俺の要請を拒絶した。

確かに罪は償わなきゃならないだろうけど、連れ出された本人が納得していたのであれば、同意していたのであればそれは罪にはならないのではないだろうか。

実際にどのようなやり取りがあった結果、アルステッドを連れ出したのかは分からないが、それでも彼女に罪があるとは思えない。

いや、思いたくなかった。


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