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異世界転生後輩  作者: 一之三頼
第2章 ラディウムのヴァイキング
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喫緊の問題

「俺は、立ち止まれない。自分の選択が最善なんて言い切る事は出来ないけど、それでも立ち止まる事は出来ない。」


タガミ先輩を探し出す為にも、ジャックの代わりに『差し伸べる手』を導く為にも、フリードを頼ってラディウムの未来に影響を及ぼした贖罪の為にも、止まる訳にはいかないのだから。


「良い覚悟だね。まだ迷いは感じて取れるけど、その姿勢は実に良いよ。」

「でも最善を尽くすと言っても、実際に何をすれば良いんだ……?」

「さぁ?」

「さぁ?って……」


どのように最善を尽くせば良いのか分からず、問いかけてみると返って来た答えは無いに等しい物だった。

あまりに雑な回答に呆れていると、彼は言葉を続ける。


「それこそまずは君が自分自身で考えなくてはね。強いて言うのであれば、ラディウムがより良くなっていく為に君に何が出来るか、くらいかな。それ以外は最善を尽くすにしても範囲が広すぎてヒントの出しようもないよ。」

「ラディウムの為に、何が出来るか、か……」


助言を貰う事は出来たが、自分自身に出来る事は多くは無い。

しかしそもそも一人の人間に出来る事には限りがあるのだ。

それならば人を動かすと言う手段も講じればいい。

もちろんどのような影響を及ぼすのかをしっかりと考える必要はあるが……。


「ともあれまずは目の前の問題に対処しなくてはね。」

「王位と公位継承の話か?」

「いや、それよりももっと喫緊の問題さ。」


思考しながら歩みを進めていると、フリードは問題に対処する必要があると言い出す。

海賊、正確にはラディウムの問題をひとまずは解決した訳だが、それ以外にも問題があるのだろうか。

予想に挙げた継承の問題は否定され、頭を悩ませるが……


「今日の寝床をどうするかだね。」

「は?」

「本来であれば来賓としてラディウム城に泊まらせてもらう予定だったけど、アルステッド様があの様子ではそれも無理そうだったのでね。引き連れてきたラディウムの兵士たちはあのまま城に返したが、僕はそうもいかないからね。そんな訳で君たちの拠点か、どこか良い宿でも知らないかな?」

「フリード、お前……」


予想に反してとても矮小な問題だった。

確かに衣食住の確保は大切な問題だが、ラディウムや国家の問題と比較すると小さく思えて仕方がない。

呆れて言葉も出てこなかった。


「はぁ……うちの拠点に泊まっていくか?」

「良いのかい?いやぁ助かるよ!」


俺が拠点の一部屋を使うか尋ねると、彼は諸手を挙げてその提案に飛びつく。

先程まで考えさせられる持論を語っていた人物とは思えない有様だが、どんなに優れた人間でも至らない所はある、と言う解釈にしておこう……。


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