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異世界転生後輩  作者: 一之三頼
第一章 ウラッセア王国騒乱
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教会へ

「比較的安全なワシャールの街まで連れてきて貰えたので、この街の教会に行こうと思ったんですが………。」

「そうですか。ではここでお別れですね。さようなら。」

「レオノーラさんが寂しがると思うのでもう少しだけここにいますね!」

「欠片も寂しくないので早く出て行って下さい。」

「もう!そんな事言わないで下さいよ!」


アニエスは今後の予定を話すが、レオノーラさんの為にまだここにいると語る。

レオノーラさんは相手を追い払うように手を『しっしっ』と振るが、逆効果なのではないだろうか。


「えーと、とりあえず教会に行って元々王国だったところがヤバいって伝えてあげた方が良いんじゃないか?」

「それもそうですね!あ、そうだ!良ければリョータさんも一緒に行きませんか?」

「え、俺も?」

「はい!これからしばらくこの街にいるんだったら街を見て回っても良いと思いますよ!それに気分転換にも丁度良いと思います!」


アニエスに教会に行くことを勧めると、何故か俺も一緒に行かないかと誘われた。

確かに街を見て回るのも悪くは無い。

タガミ先輩が連れ去られた後も普通に振舞っているつもりだったけど、他の人から見たら落ち込んでいたり、沈んでいたりしてるように見えたのだろうか。

なるべく心配は掛けないようにしないと、と思っていたが、あまり意味は無かったようだ。


「良いんじゃねぇか。飯が出来るまで時間が掛かるだろうし、少しくらい街に出ても問題ねぇだろう。」

「そうですね。その騒がしい奴をここから引き離して下さい。」

「騒がしいんじゃなくて元気なだけですよ!」


ジャックさんもレオノーラさんも賛成してくれた。

レオノーラさんはアニエスに早く出て行って欲しいみたいな言い方をしているが、これも愛情表現の一種だろう。


「それならお言葉に甘えて、行ってきます。」

「おう、気を付けてな。」

「さぁ、そうと決まれば早速行きましょう!」


俺がアニエスについて行くこと決めると、アニエスは待ちきれないと言わんばかりに俺の手を取って歩き出す。

それから一時間近く、街を見渡しながら歩いていたが、一向に目的地に着く気配が無い。


「なぁ、アニー。」

「はい!」

「さっきから結構歩いてるけど、ずっと同じような所をぐるぐるしてないか?」

「確かにそうですね!」


出来れば違っていて欲しいが、一つの可能性をアニエスに尋ねてみる。


「もしかして、道に迷った?」

「大丈夫です!この街に来たのは初めてですけど、進み続けていれば、きっと目的地に到達出来るはずですから!」

「いやなんでそんな自信満々に言えるんだよ!なんで拠点から出て自信満々に進んで行ったんだよ!道が分からないなら最初っからそう言ってくれよ!」


拠点から出て自信満々に進んで行くその姿は道に迷っていると言う事実を一切感じさせない程に迷いのない歩みだった。

道が分からないと知っていれば、ジャックさんからこの街に詳しい人を紹介してもらったのに。

そんな事を考えていると、アニエスは表情を輝かせ、一つの建物を指差す。


「あ!たぶんあの建物です!ウハヤエ教のシンボルを模した彫刻が入り口に刻まれているので間違いないです!」

「ほんとか?なんか掛け算の×の記号とかバツ印の×に見えるんだけど。」

「カケザン?とかバツジルシ?が何なのかは分かりませんが、間違いありません!」


さっきから同じところをぐるぐるしていたのだから、もっと早く気が付いても良かったんじゃないか?

アニエスは小走りで建物の前に行って、こちらに向き直り、笑顔で語り掛ける。


「ようこそ!ウハヤエ教会へ!」


この街に来たことのないアニエスが何故あたかも自身のホームであるかのように歓迎できるのだろうか。

しかし、色々とツッコミを入れたいところはあったが、その無邪気な笑顔を見ているとこれ以上何も言う気になれない。


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