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異世界転生後輩  作者: 一之三頼
第2章 ラディウムのヴァイキング
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若様がいなくなりました

グランマの事を尋ね、ラディウム城を訪れたものの、門番の衛兵に門前払いにされて拠点まで戻ってくると……


「お戻りですか。待ってましたよ。」

「ベック?どうしてここに?」


そこにはアルステッドのお目付け役のベックがいた。

普段であれば主と共に行動しているので、彼がここにいるのであればアルステッドもここにいるはずだが、姿が見えない。

珍しい事に一人で訪ねてきたようだが、どのような要件だろう。


「若様に関してお話がありまして……」

「若様って言うとアルステッドの事か。」

「大将がどうかしたのー?」


何か伝言だろうか。

しかし伝言なら伝言と言うだろうし、アルステッドに関する話とは一体何なのだろうか。

オルガノもイーリスも困惑しながら問いかける。


「若様がいなくなりました。」

「え?」


帰って来たのは驚愕の答えだった。

『いなくなった。』

聞き間違えでなければ、ベックはそう言っていた。

誰もが驚きを隠せない中、彼は話を続ける。


「昨日から行方が知れず、現在捜索中です。」

「昨日って言うと……」

「グランマがいなくなっちゃった日だねー。」

「もしかしてー」

「そして若様が行方不明になる前、最後に会った人物はマデリン殿。皆様がグランマと呼ぶ人物です。」


アルステッドが行方不明になったのは昨日。

グランマが行方不明になったのも昨日。

偶然の可能性もあるだろうが、その可能性は低いと考えられる。

グランマの事を尋ねたら態度を一変させた衛兵だったが、この状況から鑑みるにグランマはアルステッド誘拐の第一容疑者として挙げられていてもおかしくはないだろう。

むしろ門前払い程度で済んだのは温情だったのかも知れない。

しかしこちらとしてもグランマがそのような凶行に及ぶとはとても考えられない。

むしろ二人とも被害者ではないだろうかとすら思う。


「若様の部屋には『心配無用。探さずとも良い。』とだけ書かれた書置きが残されていました。これまでも度々心配を掛けられる事はありましたが、書置きだけ残して姿を眩ますなど、一度もなかった事です。現在も騒ぎが起こらぬよう秘密裏に捜索を続けてはおりますが、足取りは掴めません。皆様は何か知りませんか?」


一見冷静そうに見えるが、藁にも縋るかのように俺たちに尋ねてくる彼の姿は内心焦っている事を如実に感じさせた。

普段でこそ主に対して辛辣な諫言や呆れる様を見せてきたが、根底には確かな敬愛と忠義があるのだろう。

しかしそんな彼に申し訳が無いが、こちらとしても渡せる情報は何もない。

むしろこちらの方こそ少しでも情報が欲しいまである。

偶然とは思えない両者の失踪。

あまりにも不足する情報。

一体何が起こっているんだ?


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