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異世界転生後輩  作者: 一之三頼
第2章 ラディウムのヴァイキング
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噂話に花を咲かせて

「そう言えば聞いたか?」

「何をだ?」

「次の王様だよ。本当かどうか分からないけど、アルステッド様が王位に就くって話。」

「アルステッド様って、あの?」

「そう、この領の。」

「どうせ根も葉もない噂だろう?」

「まぁ、根拠がある訳じゃないが、そうなったらどうなるんだろうな。」


昼時、ダイアンの店で料理を注文して俺とオルガノは雑談を交わす。

ただし内容は広めるべき『次期国王』の噂。

声を潜める訳ではないが、かといって声高らかに喋る訳でもなく、至って普通に会話をするかの如く、雑談を交わす。

俺が話題を提供し、オルガノが相槌を打ちながら料理が来るのを待っていた。


「お待ちどおさん。」

「お、ありがとう。」

「なぁ、ちっと聞こえてきたんだが、その話って本当か?」

「話?」


そして料理が到着し、ダイアンに感謝の言葉を告げる。

すると彼はその場を去る事なく、俺たちに問い掛けてきた。

内心で『よしっ!興味を持ったな!』と思いながらも、あたかも些細な話をしていただけであるかのように振舞い、首を傾げながら何について聞かれたのかを問い返す。


「ほら、アルステッド様が次の国王って言ってただろ?」

「その話か。」

「とは言っても、噂は噂だけどな。まぁ火の無いところに煙は立たないっていうし、それっぽい理由があるから噂になってるのかも知れないけど。」

「なるほどなぁ……。だけどそうなったらラディウムの次の領主様は……」

「おーい、ダイアン!」

「あいよー!それじゃゆっくりしてってくれ。」


あくまでも噂であるものの、しかし荒唐無稽な物でもないと言う程度に仄めかし、印象付ける。

そうして噂話に花を咲かせていると、店主のダイアンは他の客に呼ばれて離れて行った。

後は良い具合に彼が弟や来客に噂を広めて言ってくれれば上々だ。

俺とオルガノはその後も雑談を交えつつ料理に舌鼓を打って拠点に帰還した。




「あ、リョータとオルガノー」

「お帰りー」

「イーリス、イーシャ、先に帰って来てたのか。」

「うん、買い物しながらー」

「話して周って来たよー。」


市場に向かっていた双子は既に帰ってきており、俺たちを迎えてくれた。


「こっちは良い感じだったけど、そっちはどうだった?」

「んー、わかんないー。」

「でも人はたくさんいたからー」

「誰かが聞いてたかもー。」

「結局、効果があったかどうかは時間が経たないと分からない、か。」

「グランマはどこに?」

「いつもみたいにお城に行ってるんじゃないかなー。」


噂がどれほど広まるか、未来の事は分からないが効果はあったと信じよう。

しかしオルガノが聞いたようにグランマの姿が見えない。

イーリスはラディウム公の居城に行ったのではと予想しているが……

まぁ戻ってきたら聞いてみれば良いかと思い、俺はこれ以上話題を広げる事はしなかった。


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