本当に信用して大丈夫なのですか?
「そのフリードってのが、どうにかできるってぇのか?」
「そもそもそいつが信頼できるのかってのも問題だぜ。」
「どうにか出来るかは分からない。でも俺たちじゃ良い案は出せてないだろ?だったら頼ってみても良いと思うんだ。それと信頼はしてもいい、と思う。」
ランドルフとユーステッドはそれぞれ懐疑的に意見を述べるが、俺はフリードを信じ、頼っても良いと思っている。
現状を打開するのには彼の力を借りるのは決して間違った選択だとは思わない。
しかしユーステッドは自身の抱く懸念を語る。
「リョータとフリードは知己の仲なんだろうが、オレからすりゃ他所の領主の臣下だ。主君の為に何かしら企ててもおかしくはねぇと思うぜ。」
「外部の人間を頼る、と言う点に関しては賛成ですが、ユーステッド殿の懸念ももっともです。そちらについては何か確信をお持ちで?」
彼の意見にラッセルも追随し、俺に視線を向けて『何故信用に足るのか』と問い掛ける。
ラッセル自身はそこまで懐疑的と言う訳ではなさそうだが、ランドルフとユーステッドを説得する為にも必要と言う事だろう。
「俺をラディウムに派遣したのかフリードなんだ。王位の継承問題についてはユーステッドにも前に話したと思うけど、ラディウム公は領内の問題が片付いたらアルステッドを次期国王に据えるって形で話が終わったらしいんだ。それで俺がその問題解決の為に派遣された。だからフリードが策謀を巡らせて利益を得ようとすることはない、はず……。」
「本当に信用して大丈夫なのですか?」
俺が事情を説明し、フリードは信用できると言おうとするも、これまでの言動から断言できずにいる。
それを聞いたラッセルは苦笑いしながら呆れたような声を溢す。
「少なくともラディウムに被害を出すような事はないはずだ。あいつは利益こそが人々を結びつける、利益こそが人々を動かすって信条の持ち主だけど、だからこそあいつの目的の為にも状況を悪化させるとは考えづらいんだよ。」
「良くも悪くも合理的と言う事ですね。そして目的がラディウムの問題解決であれば信用しても良いのではないかと。」
「なるほどな。まぁ試して見ねぇと分からねぇだろうし、オレは異存はねぇよ。ユーステッドはどうだ?」
「……分かった。ただし役に立ちそうになかったり怪しい企みをするんだったらすぐに止めるぜ。それでオレはさっき話してたように動かせてもらう。」
ラッセルは俺の意見に乗って賛同し、それを聞いたランドルフも了承した。
ユーステッドもまた条件こそ付けたが一応は賛成してくれた。
問題が解決した訳では無いが、取り敢えずユーステッドの凶行を止める事が出来ただけでも上々だ。
あとはフリードに手紙を送って事情を説明し、知恵を貸してもらおう。