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異世界転生後輩  作者: 一之三頼
第2章 ラディウムのヴァイキング
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文化、いや問題

「正当な手順でその地位に就いた後継者と、不当な手段でその地位を得た簒奪者。学のない民からすれば自分たちの生活が問題無く営めるのであれば、表立って反抗はされないでしょう。」


ユーステッドの覚悟を聞いたランドルフは額に手を当てて溜め息を吐く。

その辟易とした様は、俺が来る前から同じような問答を繰り返していた証左だろう。

ラッセルもまた反対派の立場として冷静に反論する。


「しかし水面下までそうとは言えません。彼らに無いのは学よりも武器です。少なくとも今いる転生者たちはこれまでの恩義を胸中に残し、機会を窺い続けるでしょう。もしも何か問題が起これば暴発する可能性は高いですね。」


良くも悪くも、ラディウム公はその政策故に転生者たちからの人気は高い。

そしてラディウム領はそんな転生者たちのもたらした知識や技術によって発展してきたのだ。

そんな転生者たちを敵に回して、いや明確な対立こそしなくとも彼の言うように目に見えない所で反乱の土壌が育まれては、統治に少なからぬ影響が出るだろう。

転生者たちを優遇すれば良いと言う訳では無いが、彼らから支持されるラディウム公を強引に排除するのは良い選択とは思えない。


「確かに遺恨は残るかもな。問題の先延ばしって言ったらその通りだ。だけどよ、その延ばす先自体が危ぶまれてるんだ。未来云々の話は実際大事だろうけどよ、それも今があってこそだろ。」

「貴方の代であれば、貴方がその先延ばしした問題と向き合って責任を取ればいい。しかし今代の転生者たちが次代へと恨みを語り継いでしまった場合、それこそ誰の為に何を成し遂げたいのかさえ曖昧で無意味な諍いが起こるのでは?そしてその諍いを宥めるのは次の指導者なのですよ。」

「そうなる可能性も、そうならない可能性もある。だが、その上でオレは、オレたちは転生者を優遇する文化、いや問題と向き合っていかなくちゃならねぇだろ。父上だけが引き起こした事じゃない。連綿と続く中で少しずつ捩じれちまったあり方を、時間を掛けてでも是正していかなくちゃならないんだよ。例え次世代に残していく事になったとしても。」


ラッセル、ユーステッド共に議論を交わし、互いに引く事はない。

ラディウム公の一件も踏まえるとユーステッドの言い分も理解は出来るが、それでも血が流れるような手段で解決する事に関しては賛同しかねる。

かと言ってランドルフやラッセルでも説得出来ていない頑ななユーステッドを説得するのも非常に難しそうだ。

一体どうしたものか……。


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