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異世界転生後輩  作者: 一之三頼
第2章 ラディウムのヴァイキング
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やらねばならない

「……どういうつもりだ?」

「お前も分かっているだろ?父上は決して譲る姿勢は見せない。父上がいる限り、事態は改善しない。ならば退いてもらう以外に道はないんだよ。」


確かにラディウム公と話をしたが、聞く耳を持つことは無く、彼に訴えかけた所で事態が解決するとは思い難い。

しかし……


「その為にディヴェラの人たちを巻き込むのか?」

「それは違う!」

「違くはねぇだろう。」


これまで共に生活をしてきたディヴェラの人々を巻き込むのかと、避難するように投げかける。

確かに現地民の多くは不満を抱き、海賊行為に手を染めている。

しかし、それはあくまでも一部の人々だ。

ラディウム公にも、転生者たちにも、『海賊』として認識されている。

もしもディヴェラの住人たちを巻き込むと言うのであれば、それは彼らにとっての敵が『海賊』から『現地民』へと変わるだろう。

そうなればいよいよ転生者と現地民の対立は歯止めが効かなくなる。

ユーステッドは否定するが、これまで沈黙を保っていたランドルフが彼の否定を否定する。


「この間投降した領邦軍の連中を集めて事を起こそうってんだ。ただの一般人と訓練を受けた兵士って点じゃあ確かに違うかも知れねぇがな、結局はこの世界の連中を使おうってのに変わりはねぇんだよ。」


ランドルフも俺と同じことを懸念し、それを告げる。


「今はハルゲンベン公に頼み込んで向こうに置いてもらってるが、あいつらになんて言って呼び戻そうってんだ?降伏したって負い目のある連中に、更に主を裏切れってか?」


更には兵士たちの気持ちも加味してユーステッドへと投げかけ、


「お前は血濡れの玉座に座る事になるんだぞ。実の父親の血で塗れた玉座に。」


真にその覚悟があるのかと推し量るように、その選択は採るべきではないと威圧するように、まだ引き返す事は出来るのだと諭すように、ランドルフは発した。


「だとしても、やらねばならないでしょう。」

「爵位を簒奪したテメェに、どれだけの連中が付いて来ると思ってんだ?」

「叔父上たちが味方してくれないとしても、たった一人で事を成すしかないとしても、暗殺者の所業と言われようとも、やらねばならないのです。」


しかしそれでも、ユーステッドは眼を逸らす事なく彼を見据えて返答する。

再度の問いかけにも曲がる事無く、怯む事無く、引くこと無く。

自身がやらなくてはならない、これこそが己の『使命』とも言える確信を持った瞳で彼は決意と覚悟を告げるのであった。


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