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異世界転生後輩  作者: 一之三頼
第2章 ラディウムのヴァイキング
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転生者や現地民である前に

「それで、一体どうやってラディウム公と面会するんだ?正面から行くのか?」

「家出息子がそんな事出来るか。」


そんな事をすれば十中八九、いや間違いなく城門辺りで衛兵に止められるだろう。

まぁ最初からそれは無いとは思っていたが。


「オレの直臣が城下で待機している。あいつに手引きさせ城内に入り、そこから父上の執務室を目指す。城の守備兵も最低限だろうから、恐らく面会自体は問題は無いだろう。」

「面会自体は?」


ラディウム公と面会して説得する事が目的なのだから、問題が無いのであればそれで良いのではないだろうか。

確かに説得が成功するかどうかも重要だが、可能性が低い事は元より承知の上だ。


「父上がオレをどうするか。そこが懸念だな。まぁ間違いなくディヴェラには戻れんだろうな。」

「頼んでおいてなんだけど、本当に良かったのか?俺だけその直臣の人に案内してもらってユーステッドは城には入らないとか……。」

「オレがディヴェラにいた所で大した事は出来ねぇからな。元々は叔父上に父上を止めてくれって頼む事が目的だったんだ。短い間だったが民草としての生活も学べたし、ここらが潮時だろう。」


市井の生活を学ぶために城から出て生活していた訳では無く、家出同然でディヴェラにいたのだ。

しかも彼は領主の息子。

立場を考えれば説教では済まない可能性もある。

その点を考慮出来ていなかったのは俺の落ち度だ。

代案、と言う訳でもないが、ユーステッドが城内に帰らずに済むように提案するが、彼はそれを断った。


「それに直接人々の営みに触れ、学んだ事は間違いなく大きな糧となった。確かに転生者と我々とでは文化も生活も何もかもが違うだろう。彼らの知啓からもたらされた恩恵を無視する事も出来ない。」

「ユーステッド……、」

「しかし人々は助け合う事も、理解しあう事も出来るのだ。その点に関しては転生者であるか、そうでないかなど些細な違いでしかない。オレたちは手を取り合って生きていけるはずなんだ。」

「ユーステッド……!」


彼の言う通り、転生者と現地民とは違う。

俺もタガミ先輩に拾ってもらわなければ、この世界での生活もかなり違っていただろうし、文字の読み書きすら危うかっただろう。

彼の言う通り、転生者と現地民だって手を取り合って助け合う事が出来る。

現地民のアニエスと手を取り合って日々を過ごせた。

ジョセフの圧政下において転生者のトムスは現地民の助けによって困難を切り抜けた。

結局、俺たちは転生者や現地民である前に一人の人間なんだ。


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