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異世界転生後輩  作者: 一之三頼
第2章 ラディウムのヴァイキング
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耳を傾けるつもりは無い

ともあれ、結局のところどうやって問題を解決するか。

さきほどユーステッドの身分の話を聞いた際、その中の一節に俺はある着想を得た。


「息子のユーステッドや兄弟のランドルフの話は聞く耳持たれなかったって言ってたが、それなら転生者が声を上げるのはどうだ?」


彼らは血縁者とは言え現地の出身と言う括りで考えられたかも知れないが、庇護されてきた転生者であればもしかしたら風向きが変わるかも知れない。


「残念ながら、それが成功する可能性は非常に低いでしょう。」

「なんで言い切れるんだ?」

「既にマデリン殿が日々謁見に出向いて尚、成果は上がっていないのですから。」

「グランマはとっくに行動に移してた訳か……。」


だから毎朝起きた時には外出していたのか。

俺が来る前から続けていたとなると、ラディウム公の意思を変えるのは非常に難しそうだ。


「そーそー。でも一回だけ領主様に会って話をした後はいっつも門前払いー。」

「会って話した後はうちの建物が豪華になったけどねー。」

「まぁ一個人が、しかも恩恵を享受しているであろう転生者が、自分たちの優遇を止めろなどと言ったところで、理解も納得もし難いでしょうね。」


イーシャの話を聞くに、理解されなかったからこそ買収じみた事をされたようだし、ラッセルの言う事も理解できる。

しかし現地出身の、それも血縁者の意見を聞くことも無く、異世界出身の転生者の意見を聞くことも無い。

ラディウム公は誰の意見にも耳を傾けるつもりは無いのだろうか。

そもそも彼は一体何を考えているのだろうか。


「なぁ、ユーステッド。ラディウム公に直接意見したって言ってたけど、その時にラディウム公は何か言ってなかったか?伝統以外で転生者の優遇政策を止めない理由とか、現地の住民を蔑ろにする理由とか……。」

「オレの時は『ならん。』と『貴様もいずれ理解するだろう。』だったな。ただ叔父上が進言した時は激論を交わしていたって後になって耳にしたぜ。」

「うーん、そうか……。そうなるとまたランドルフから話を聞いてみて解決の糸口を探るかな。」


正直なところ、ランドルフに話を聞いたところで何かアイデアが浮かぶとは限らないが、それでも何も聞かないよりはマシだろう。

それに最悪の場合…………


「……ユーステッド、少しだけ二人で話がしたいんだけど、大丈夫か?」

「おう、大丈夫だ。」

「オージ様と二人っきりー?」

「いーなー。ずるいー。」

「おや、リョータ殿はそちらの趣味が……。」

「何を想像してんだよ!?ラッセルも悪ノリするな!」


ある手段を、採るべきではない策を脳裏に浮かべながら、俺はユーステッドに声を掛けた。

イーリスとイーシャは胸元で手を握り締めて抗議し、表情を変えずにラッセルもそれに便乗する。

確認したい事があったから『二人で』と言ったのだが、何をどう考えたらユーステッドを独占したいからと考えるのか。

否定だけして彼をラッセルの小屋の外に連れ出し、問いかける。


「それで、内密な話みたいだがどうしたんだ?」

「あぁ、ユーステッドがこの話を知ってるか聞いておきたくて。実は……」


あの情報を彼は知っているのか、それを確認せずにはいられないのだ。


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