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異世界転生後輩  作者: 一之三頼
序章 転生
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生まれと育ち

「どうにか街から脱出出来ましたけど、結局どこに行くんですか?」

「ワシャールと言う街に行きます。共和国に抵抗する勢力の治める街で、私達の協力者がいます。」

「協力者?『差し伸べる手』の一員じゃないんですか?」

「彼は、フリードは私達に出会うより先に旧王国の公爵に認められて召し上げられていたようでして、協力こそ取り付けられましたが仲間になってはくれなかったのです。」


フリード?どこかで聞いたことがあるような気が………。

そうだ、確かこの世界に来て初めて会った商人から聞いたような気がする。


「家畜の餌を部下に食べさせるパワハラ上司って聞いた気がするんですけど。」

「パワハラ?それは一体何ですか?」

「ザックリ言うと権力で無理矢理他人に言う事を聞かせて肉体や精神に苦痛を与える事ですよ。」

「それは割とどこにでもある話では?」

「え?」

「え?」


あって良い訳が無い。

そこかしこにパワハラが横行してるとか、レオノーラさんは一体どこから来たんだ。


「レオノーラさんって出身地はどこですか?」

「済みませんが、私も学の無い人間でして。トレッスの村で生まれましたが、国と言う括りでは分からないんです。」

「そ、そうなんですか。」


聞いた事のない地名だ。

田舎の生まれでも最低限の教育くらいは受けられると思うけど、分からないとは……。

でもネットとかでも田舎の闇って囁かれてるし、これ以上深く聞くのは憚られる。

これで突っ込んで聞いて、労働力として育てられたから教育を受けられなかったとか、そんな感じの事を聞かされたら何も言えなくなる。


「一応言っとくが、オレも似たようなもんだぜ。なんなら自分の名前さえ、この世界に来てロッキーに付けてもらうまで無かったくらいだからな。」

「は!?」

「この前言ったろ?『生きる為になんだってやって来た』って。身寄りもねぇガキが、自分の名前なんて気にする余裕はねぇんだよ。」


名前すら無いって………。

日本じゃ考えられない。

海外ではそんな環境すら存在するのか………。


「だからな、ちゃんとした教育ってのを受けて来たお前やシンディに期待してんだよ。オレ達もこっちに来て、ロッキーに出会ってからは色々と教えてもらっちゃいるが、ガキの頃から教育を受けて来た連中には及ばねぇんだ。」

「出会った時は読み書きや計算が出来ない仲間が大半ですから、『差し伸べる手』に加入した時点でそれらが出来るなら教師役として重宝されますね。」

「そ、そうなんですか………。」


想像以上の惨状に言葉に詰まる。

これから出会うかも知れない『差し伸べる手』の仲間たちも、ジャックさんやレオノーラさんみたいに悲惨な境遇じゃありませんように………。


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