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異世界転生後輩  作者: 一之三頼
第2章 ラディウムのヴァイキング
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引き金を引くのは

ランドルフから話を聞いた翌日、俺は新たに得た情報を基に問答の続きをしようとラッセルの小屋を訪れる。

加えて聞かされた情報が虚偽だった事に関しては追及をしなくてはならない。

内戦と言う単語とラッセルの名を溢してしまったことに関してはこちらにも非はあるだろうが、彼の虚偽によって一悶着起こりかけた事には文句の一つでも言わなくては気が済まないのだ。


「ラッセル!ランドルフは反乱を起こそうなんて考えていないぞ!」

「えぇ、彼が反乱を起こす事はあり得ないでしょうね。」

「いや、お前が昨日『海賊が内戦の主体になる』って言ってただろ。」

「ですが『反乱を起こす』とは一言も言っていませんよ。」


彼は釣竿の手入れをしながら、悪びれもせずに淡々と言ってのけた。

実際その通りであり、俺が早とちりしたのも事実ではあるが、納得いかない。


「…………確かに言ってなかったけど、そんな言い方されたら誰だってそう思うだろ。」

「そう思ったからこそランドルフ殿に話を聞きに行ったのでしょう?」

「全部お前の掌の上だったって訳か……。」

「ご迷惑でしたかな?自分が説明するよりもかの御仁から聞いた方が身になるかと思った次第でして。それに内戦が発生すれば海賊が、彼らを率いるランドルフ殿が主体となるのに変わりはありませんよ。」


ラッセルの狙いは分かったが、そんなに回りくどい事をせずにランドルフから話を聞く事を促せば良いだろうに。

必要な事だとは理解できたので、俺はそれ以上の追及を止めた。

どちらにせよラッセルには文句を言った所で糠に釘だろう。

俺は一度深呼吸をして心を落ち着け、気持ちを切り替えて本題に入る。


「ランドルフは転生者の優遇が不満で海賊をやってるって言ってた。」

「えぇ、彼らの声が届かないが故の行いですね。」

「でも反乱を起こそうとは考えていないとも言ってた。」

「えぇ、彼はそれがもたらす不利益をよく理解しています。」

「でもラッセルは『内戦が起こる』って言った。」

「えぇ、言いました。」


一つ一つの情報を提示し、可能性の幅を狭めていく。

ラッセルから話を聞いた後ならば、ランドルフの考えを知った後ならば、現段階である可能性が残される。

答えを導き出す事が出来る。

…………出来てしまうのだ。


「……内戦の引き金を引くのは転生者側なのか?」


事情は複雑なのだろう。

俺たちは転生者の立場だ。

この世界に放り出され、これまでの生活から切り離された。

それでも必死に今を生きている。

それなのに、何故内戦を起こそうとするのか、俺には分からない。

しかしランドルフが統制している海賊側が反乱を起こさないと言うのであれば、転生者たちが事態を動かすとしか考えられない。


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