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異世界転生後輩  作者: 一之三頼
第2章 ラディウムのヴァイキング
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困惑

フリードによる脅迫、もとい依頼を受けて俺はラディウム領へと向かった。

道中、特別な問題もなく、半月後には予定通り領都ジュテムに到着した。

『差し伸べる手』のラディウム領支部に滞在しようと考え、地図を片手に街を歩いているが……


「発展してるな……。」


そう、ラディウム領はマスカやトリア領に勝るとも劣らない発展ぶりだ。

ましてや木造の建物と石造りの建物が混在し、最前線だったが故に戦火に焼かれた場所もあったワシャールとは比べ物にもならない。

建造物は全て石造りで道は舗装され、行き交う人々の中に貧しそうな者は一人としていない。


「さぁ、寄ってらっしゃい見てらっしゃい!取れたての魚だ!今が買いだよ!」

「今日はお客さんも来るし、一尾頂こうかねぇ。」

「あいよ!毎度あり!」


路肩の商店には新鮮な品物が並び、店主による客を呼び込む声が街の活気を強調する。


「よぅ、兄ちゃん!見たところ旅人さんだよな?どうだい、寝床が決まってなかったらうちの宿屋に泊まらねぇか?」

「いや、悪いけれど泊まる当てならあるんだ。」

「そうか、そいつぁ残念だ。そこの通りの角に店を構えてるから、また機会があったら来てくんな!それからそっちに進んで通りを二つ越えた所にオレの弟が飯屋を構えてるから、良けりゃあ食ってってくれ!」


俺も宿屋の主人と思しき人物に声を掛けられたが、『差し伸べる手』に滞在する予定なので断らせてもらった。

それに対し宿屋の主人は気を悪くした様子もなく、食事処の案内をしてくる。

立派な街並みに善良な住民、それらがこの街を世界でも有数の都市であると感じさせる。

しかし反面、これほどまでに立派な街ならばラディウム公は一体何を問題視しているのだろうか。

フリードも問題の詳細については話してくれなかったし、僅かではあるがラディウム領を歩いてみても全く分からない。


「一応フリードもラディウム公には俺が使者として訪問するって話を通してくれているし、話はそこで聞くとするか……。」


分からないものは仕方がないので再び地図に目を落とし、道を往く。

そしてしばらく歩くと目的地と思しき場所に辿り着くが……


「ここか……。え?ここ、だよな……?」


そこが本当に拠点であるかを疑わしく感じてしまう。

見るからに豪奢で細部にまで模様が刻まれた扉。

良く見れば各階のそれぞれに美しい細工が施されて絢爛極まった屋根。

壁にも『差し伸べる手』の名が刺繍された垂れ幕が大々的に吊り下げられ、通りの中でも一際目立っている。

その様は『差し伸べる手』らしからぬ在り様で、ちょっとした貴族の別荘と言われても違和感を覚えない外観だ。


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