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異世界転生後輩  作者: 一之三頼
第2章 ラディウムのヴァイキング
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地方

フリードに許可を許可を取り付けてもらえるように頼み、王城にあった書類を漁る。

そこには共和国時代に行われた人口統計をはじめとする各種情報の記載された書類もあり、その中から徴兵された人が記された名簿を見つけ出す。


「無い……。」


何度読み返してもタガミ先輩の名前は見当たらなかった。


「どこにも、記載は無い……。」


リエフの街の項にはタガミ・シンジの名前は無かったのだ。


「でも……!」


しかしそれでも絶望はしない。

もしかしたら記載に漏れがあったかも知れない。

もしかしたら偽名を名乗っていたかもしれない。

もしかしたら死んでいないかも知れない。

もしかしたらどこかで生きているかも知れない。

それならば諦める事は無い。

いつか必ず見つけ出せると信じて、ゆっくりとでも、僅かでも、一歩ずつでも、探し続けるまでだ。

例えどのような形で再開する事になったとしても。




「お目当ての物は見つかったかい?」

「いいや、ダメだった。」

「そうか。だが表情は暗くないようだね。」

「ここで躓いたくらいで諦めたりしないからな。」

「へぇ、前向きそうで何よりだよ。」


資料室を出て本部へと戻るとフリードが出迎えてくれた。

彼は俺の顔付きを見ると意外そうに、感心したように目を丸くする。


「僕も王都を見て回ったが、ジョセフは都市部の発展に力を入れていたのか被害らしい被害は教会くらいしかなかったよ。むしろ中途半端に各区画の開発が進んでいて後々大変そうだけど。」

「聞いた話じゃジョセフの強制徴収が酷いって言ってたんだけどな。」

「それは地方の話だね。徴収された物資や資金はマスカをはじめとした大都市や軍備に使われていたんだ。この後の領地の再分配や王領の立て直しで揉める原因になるだろうね。はぁ……。」


フリードは溜め息を吐きながら肩を落とす。

政治や統治の事は分からないが徴収された物を地方に返せば良いのではないだろうか。

一瞬そう思ったが、それで問題が解決するのなら彼はこうも辟易としていないだろう。

余計な口出しが出来る程、俺に知識は無いのだ。

それにしても……


「地方、か……。」


タガミ先輩を探すにしても『差し伸べる手』の仲間全員が彼の顔を知っている訳では無いし、基本的には街と言える規模の場所にしか拠点は無い。

それを考えると捜索は容易ではないだろう。

現状、ジョセフもいなくなって移動の制限は無く、仕事も落ち着いている。

それならば普段は足を運ばない場所に行って見識を広げながらタガミ先輩を探すのも悪くはないかも知れない。

俺はこの世界の事については聞いた範囲の情報しか知らず、それは決して生きた知識とは言えないのだから。


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