ゴブリン族美食家疑惑
俺達はあの謎の裁判所から逃げ出した後、ミドリの住居に来ていた。そう、一晩泊めさせて貰いに来たのだ。いやはや、それにしてもよく出来てる家だな……。ミドリの努力だろうか。それは置いといて、ドアベルらしきものを鳴らす。
「誰だ……トヲルとアノードにカソード?どうしたんだ?」
「それが……」
「ええと……」
「ううん……」
煮えきらない態度をする俺達に痺れを切らしたのか、ミドリが言う。
「なんだ?忘れ物でもしたのか?」
「いや、それが……、斯々然々ありまして……」
俺達はミドリの家の中で今の状況を説明した。ミドリは、
「そうか……まあ、トヲルはゴブリン族の恩人だ。できる限りの援助をしよう」
と、快く歓迎してくれた。
腹減った……。今日は色々ありすぎた。謎の森にいたと思ったら謎のイノシシもどきに追われ、果てには謎裁判受けて死刑判決だ。理不尽すぎないか……?
「そろそろ、晩御飯にするからちょっと待っていてくれ」
そんな俺の気持ちを察したのか、ミドリが言う。
「私とカソードも手伝います!」
おお、やった。だけど……、暇だ。
晩御飯が出来るまでユニと将棋をしていた。でも、ユニは王オンリーで何故勝つ……?
などと考えていると、ミドリ達が色々な食事を運んできた。うわ、美味しそ……う?!ほとんどの料理が美味しそうなのだが、その中に謎の緑色のスープがあった……。
「な、何なのこれ……」
「ああ、それか。それはゴブリン族に代々伝わる特製スープだ」
「見かけによらず、結構美味しいわよ」
「騙されたと思って食べてみてください」
う、嘘だ……。しかし、出されたものを返すわけにもいかず、意を決して飲んだ……。
「うまっ??!」
な、なんだこれ?!予想を大きく上回る美味しさに思わず叫ぶ。この、何というか、この……。思わぬ美味しさに語彙力が崩壊する。まさか、ゴブリン族って美食家……?